心嚢水

心嚢水とは

心嚢水は、心臓を包む心嚢とその内部の心臓の間に存在する液体を指します。この液体は心嚢液とも呼ばれ、健康な状態ではおおよそ10から50ミリリットル存在しています。これは生理的に必要な量で、心臓の動きを円滑にし、摩擦を減らす役割を果たします。

心嚢水の異常な貯留

しかし、なんらかの原因でこの心嚢水が通常の範囲を超えて貯留すると、心嚢液貯留（心嚢水貯留）と呼ばれる状態になります。この状態は、心臓周囲に液体が異常にたまることで、心タンポナーデを引き起こす可能性があります。心タンポナーデは、極端な場合、心臓の機能を著しく低下させるため、適切な治療が必要です。

心嚢水貯留の原因

心嚢水が異常に貯留する原因となる病状は多岐にわたります。具体的には以下のような疾患があります。

1. 感染性疾患

ウイルスや細菌による感染症は、心嚢内に液体が貯留する一因です。特定のウイルス感染、例えばコクサッキーウイルス、エコーウイルスなどがこれに該当します。また、細菌の感染による心膜炎も心嚢水貯留を引き起こすことがあります。

2. 鬱血性心不全

心臓のポンプ機能が低下すると、血液がうっ滞し、心嚢内に液体が貯留することに繋がります。この場合、心臓は正常に血液を送り出せず、全身の血流に影響を及ぼします。

3. 腎不全

腎臓の機能が低下すると体内の水分バランスが崩れ、結果として心嚢内に液体が滞留することがあります。特に透析が必要な重度の腎不全患者では、この問題が顕著になることがあります。

4. 癌性心膜炎

癌が進行することで心嚢に影響を与え、心膜炎を引き起こし、その結果として心嚢水が貯留することがあります。特に、悪性腫瘍が心膜に浸潤した場合などが該当します。

まとめ

心嚢水は生理的に必要な液体ですが、その量が異常になると様々な健康上の問題が生じます。心嚢水貯留は、その後の心臓機能に深刻な影響を及ぼすため、早期の診断と治療が不可欠です。心嚢水の変化に気付いた場合は、速やかに医療機関での診察を受けることが重要です。

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