心房細動

心房細動についての詳しい解説

心房細動とは、心房が不規則に動き、正常な心機能が妨げられる不整脈の一種です。この状態では、心房は自発的に興奮し、心室への信号が乱れることにより、心拍が不規則になります。

病態と死亡率

心房細動は、洞房結節からの規則的な電気信号がうまく伝わらず、心室収縮が不規則になる状態です。Framingham研究によると、心房細動発症初期の数ヶ月間は死亡率が高いものの、長期的には洞調律の患者と同等であるとされています。ただし、このデータには心不全や脳梗塞歴のある患者が含まれており、全ての心房細動患者に当てはまるわけではありません。心房細動患者の長期予後は、心臓病や高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症の有無によって影響を受けることが多いです。

脳梗塞予防のためのスコア

心房細動では、脳梗塞のリスクを評価するためにCHADS2スコアが用いられます。これは心不全、高血圧、75歳以上、高血糖、脳卒中の既往を点数化したものです。スコアが2以上の場合、予防的な治療が必要とされますが、若い人にリスクがない場合は抗凝固療法が不要です。ただし、高血圧の場合、抗凝固療法の効果が薄いこともあるため、注意が必要です。心房細動は生活習慣病の影響を受けやすく、適切な生活習慣の管理が求められます。

症状と検査

心房細動によって、心臓からの血液がうまく送り出されず、不整脈に伴う様々な症状が現れます。主な症状としては、めまいや動悸、疲れやすさがあり、重篤な場合は心不全や脳梗塞を引き起こすこともあります。

診断には、心電図や胸部X線が使用され、心電図ではRR間隔の不整、P波の消失、f波の出現などの所見が確認されます。また、心エコー検査により心臓の機能や大きさ、血栓の有無などが評価されます。

原因と症状

心房細動の原因としては、心房筋の変化があり、興奮の伝導にばらつきが生じるため、異なる方向に興奮波が生まれます。基礎疾患がない人の90％は、肺静脈の異常な収縮が引き金になることが多いです。心房負荷をかける疾患や、甲状腺機能亢進、虚血性心疾患などが心房細動を招くこともあります。

治療

心房細動の治療にはいくつかのアプローチがあります。主な目的は、心拍数の管理、心調律の回復、血栓症の予防です。抗凝固療法としては、ワルファリンや新しい経口抗凝固薬が用いられます。抗不整脈薬を使用した治療も行われますが、個別の症状や基礎疾患に応じて治療を組み合わせることが重要です。

また、カテーテルアブレーションなどの根本的な治療法も存在し、心房と肺静脈の異常な電気伝導を遮断する手術が行われています。

まとめ

心房細動は多様な症状や合併症を持つ疾患です。生活習慣病の管理や適切な治療によって、予後を改善し、生活の質を維持することが重要です。症状がある場合は、迅速に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが必要です。

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