心膜炎

心膜炎についての包括的なガイド

心膜炎（英語: pericarditis）は、心膜と呼ばれる心臓を包む膜の炎症を指します。この病気は、急性心膜炎と慢性収縮性心膜炎の2つに大別され、さまざまな原因が関与しています。一般的に、心膜炎は臨床上あまり頻繁に見られない病態ですが、剖検時には一定の頻度で確認されます。

心膜炎のタイプ

特発性心膜炎

心膜炎の多くは特発性であり、病因が明確でないケースが多いです。急性心膜炎の場合は、ウイルス感染が最も一般的な原因とされています。他にも心筋梗塞後や心臓手術後に続発することがあります。

抗菌性心膜炎

細菌やウイルス、真菌など、特定の感染が原因で生じることもあります。

• - 結核性心膜炎
• - 細菌性（ブドウ球菌、連鎖状球菌など）
• - ウイルス性（コクサッキーB型、エコーウイルスなど）
• - 真菌性（アスペルギルス、ヒストプラズマなど）

リウマチ性心膜炎・尿毒症性心膜炎

膠原病や尿毒症に関連して心膜炎が発生することもあります。

症状

心膜炎の症状としては、以下のようなものが一般的です。
1. 胸痛：最も典型的かつ重要な症状で、胸部に鋭痛や鈍痛が生じることがあります。この痛みは、呼吸や咳、体位の変化によって増悪しやすいです。
2. 呼吸困難：初期から見られることが多く、心膜に溜まった液体が肺や気管に圧力をかけることで生じます。
3. 全身的な症状：発熱や倦怠感、胸痛に伴う不安感が現れることがあります。

診断

鑑別診断

心膜炎の診断には、他の疾患との鑑別が必要です。これには、心陰影拡大を引き起こす疾患や呼吸困難を呈する疾患が含まれます。診察時には心膜摩擦音が聴取されることがあり、特にこの音は心膜炎の重要な指標とされています。

画像検査

心臓の超音波検査や胸部X線、心電図検査が診断に用いられます。超音波検査では、心膜液が観察されることがあり、X線写真では心陰影の拡大が見られることがあります。

治療

心膜炎の治療は、基本的には原疾患の治療を行うことが原則です。抗生物質による治療が必要な場合があり、また、痛みを軽減するために非ステロイド系抗炎症薬が用いられることもあります。多数の液体が溜まっている場合は、その排出が行われることがあります。

慢性収縮性心膜炎

慢性収縮性心膜炎は、心膜が線維化し心臓の拡張を妨げる病態です。主に急性心膜炎からの進行が問題となります。診断には心膜叩打音が特徴的であり、治療は主に手術による心膜切除が考慮されます。

まとめ

心膜炎は多様な原因による心膜の炎症であり、それぞれに特有の症状や治療法があります。特に急性心膜炎は様々な要因で発症しやすく、病態が進行すると慢性へ移行することがあります。早期の診断と適切な対応が重要です。

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