心臓核医学検査

心臓核医学検査の概要

心臓核医学検査は、心臓疾患、特に虚血性心疾患を診断するための重要な検査方法です。この検査では、放射性医薬品を投与し、被験者が内部被曝を受けることになりますが、この被曝は心筋の状態を詳細に評価するために必要です。

評価対象と検査手法

この検査で評価される対象には、心機能、心筋血流、心筋代謝、急性心筋壊死、交感神経機能などがあります。使用される検査手法は、投与する放射性核種の種類により異なります。具体的には、単一光子放射断層撮影（SPECT）またはポジトロン断層法（PET）を選択し、効果的な診断を行います。

• - SPECT: 崩壊によりガンマ線を放出する放射性医薬品（例: 99mTc、201Tl、123I）を用いる。
• - PET: 陽電子を放出する放射性医薬品（例: 11C、13N、18F）を用いる。

心筋血流イメージング

特に、心筋血流イメージング（MPI）は心筋の生存能を評価するために利用されます。この検査では、運動負荷をかけることで、正常な心筋と虚血性心筋（可逆的な傷害）および梗塞心筋（不可逆的な傷害）を効果的に区別できます。これは、虚血性心疾患の診断において重要な情報を提供します。負荷時の心筋は正常心筋よりも血流が低下することが期待され、この原理に基づいて診断が行われます。

具体的なプロセスとしては、まず99mTcを結合した放射性医薬品が被験者に注射されます。その後、アデノシンやドブタミンなどの薬剤を用いるか、運動を取り入れることで心臓にストレスを与え、心拍数を上げます。この状態でSPECT撮影を行い、効果的な評価を実施します。

補足として、通常この検査では、安静時の画像とストレス時の画像を比較して診断を行いますが、放射性医薬品が血流によって拡散し消失するため、この2つの撮影を同日に行うことは稀です。大抵は1～7日後に安静時の画像を取得します。一部の測定方法では、負荷測定の数時間後に安静時の撮影が行えることもありますが、通常はストレス時の撮影が優先されます。

最終的に、MPIの検査精度は約83%（感度85%、特異度72%）となっており、他の非侵襲的検査と同等かそれ以上の信頼性を持っています。このため、心臓疾患の早期発見や治療方針の決定において、MPIは非常に重要な役割を果たしています。

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