必殺! 主水死す

映画『必殺! 主水死す』

1996年に公開された映画『必殺! 主水死す』は、松竹株式会社と松竹京都映画株式会社が製作した作品です。この映画は、必殺仕事人シリーズの中でも特に重要な位置づけとなっており、シリーズの主人公である中村主水の物語が一旦の完結を迎えます。監督は貞永方久が務め、観客に深い感情を呼び起こす内容となっています。

概要と背景

本作は、キャッチコピー「シリーズ完結! これが最期だ!」、「さらばムコ殿…」によって、ファンの間で大きな注目を集めました。映画の展開は、主水の死を暗示する形で進んでいきますが、実際には11年後の『必殺仕事人2007』でも主水は変わらず登場し続けます。この作品は、他の必殺仕事人シリーズとは異なる独自の視点を持ち、特にお千代を巡る中村主水と権の四郎との深い因縁が描かれています。

あらすじ

物語は、仕事人の中村主水が年齢に抗えない様子から始まります。彼は情婦のおけいとの関係も危うくなりつつあり、ある日、帰り道で著名な浮世絵師、葛飾北斎の遺体を発見します。奉行所は事件性はないと判断しますが、その後北斎に関わった彫師や摺師が次々と謎の死を遂げ、北斎の娘であるお栄が主水に調査を依頼します。手掛かりは北斎の最後の作品と思われる似顔絵です。

そんな中、おけいは武家の跡目争いに関連する危険な仕事を持ち込みます。その依頼は、双子の弟を探し出して殺すというもので、主水や他の仕事人たちはその不当な依頼を拒否します。

物語はさらに波乱を呼び、主水は似顔絵に似た大道芸人の少年、捨蔵と出会いますが、捨蔵は実際には少女であり、その義理の母は主水の昔の仲間であるお千代です。お千代は、主水との再会を果たす一方、自身の記憶を失った原因となる傷を抱えていました。

さらに、主水の前にはおけいが送り込んだ仕事人たちが乱入します。その後、依頼人の清太とお千代の亭主だった権の四郎が現れ、主水は意外な真実に直面します。権の四郎は、主水への歪んだ愛情により罠を仕掛け、予期せぬ悲劇を引き起こすのです。

キャスト

映画には多くの才能ある俳優が参加しています。中村主水役は藤田まことが演じ、その仲間である飾り職人の秀を三田村邦彦が、三味線屋の勇次を中条きよしが務めています。情婦のおけいは東ちづるが演じ、他にも多くのキャストが作品を彩ります。

製作と音楽

製作は櫻井洋三、脚本は吉田剛が担当し、映像美を追求した撮影が行われました。また、主題歌には葛城ユキの「哀しみは花びらにのせて」が起用され、映画にさらなる深みを与えています。特にこの主題歌は、テレビシリーズからの流用ではなく、本作のために作り出されたオリジナルであることが特徴です。

終わりに

『必殺! 主水死す』は、感情豊かで緊張感に満ちたドラマであり、シリーズのファンにとって特別な意味を持つ作品です。年齢を重ねた仕事人が、過去の仲間や敵との関係を反芻しながら、運命に翻弄されていく様子は、一見の価値があります。特に主水とお千代の再会や権の四郎との複雑な関係は、観る者に深い感動を与えます。

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