貞永方久

貞永方久について

貞永方久は1931年9月22日に満洲国新京で生を受けました。日本の映画界に多大な貢献をした彼は、2011年7月14日に心不全のため79歳で亡くなりました。彼の人生は、戦後の動乱を経験しながら育まれ、映画監督としての道を切り開いていきます。

学生時代とキャリアの始まり

大分県立別府鶴見丘高等学校から九州大学法学部に進学した貞永は、1956年に卒業しました。在学中は演劇活動に熱中し、その中で木下惠介や黒澤明の影響を受けて日本映画への関心を高めていきました。卒業後、松竹京都撮影所の演出部に入社し、伝説の映画人たちのもとで助監督としての経験を積みました。

1961年以降はテレビのドキュメンタリー番組の演出も手掛け、1965年に京都撮影所が閉鎖された後は、大船に移籍しました。そして1968年、山根成之との共同監督で、原田芳雄主演の『復讐の歌が聞える』で監督デビューを果たします。この作品は、彼の監督としてのスタイルを確立し、その後の作品にも影響を与えることになります。

監督としての成功

1971年には『黒の斜面』で監督に昇進し、次第にサスペンス・ドラマの分野で名を馳せることとなります。特に『嫉妬』や『影の爪』、『夜が崩れた』など、女性の情念を描いた作品が評価され、彼の代表作として知られるようになりました。また、大作となる『流れの譜』や『海嶺』なども手掛け、確固たる作家性を示しました。

テレビ映画における影響

映画監督としての活躍だけでなく、貞永はテレビ映画の演出でも多くの作品を手掛けました。中でも『ジョン万次郎』や『坊っちゃん』は原作を忠実に再現し、視聴者から高い評価を得ました。また、1973年から1987年にかけて放送された「必殺シリーズ」への参加も大きなポイントであり、このシリーズでは数多くの作品でメガホンを取りました。

俳優としても活躍

貞永は、映画監督としての活動に加え、俳優としても活動しました。1978年に放送された『松本清張の顔　死の断崖』では、「映画監督」という役名で出演し、監督から俳優への多才な一面を見せました。

最後の時代とその影響

彼は晩年、心不全により横浜市の病院で亡くなるまで、映画界に多くの足跡を残しました。代表作としては、『必殺仕掛人 春雪仕掛針』や『良寛』など、幅広いジャンルの作品が挙げられます。また、貞永は国政選挙において日本共産党を支持する姿勢を見せていました。彼の作品や監督スタイルは、今なお後進の監督にインスピレーションを与え続けています。

人物像

貞永に対しての評判は良好で、彼を知る人々からは「温厚な紳士」との評価が寄せられています。家族には二人の息子があり、長男は俳優として1990年代半ばまで活動していました。彼の穏やかな性格と豊かな才能は、日本映画界において重要な地位を占めています。

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