必殺からくり人・富嶽百景殺し旅

必殺からくり人 富嶽百景殺し旅

『必殺からくり人 富嶽百景殺し旅』は、1978年8月から11月にかけてテレビ朝日で放送された時代劇です。本作は『必殺』シリーズの第13作目であり、『必殺からくり人』シリーズの4作品目にあたります。主演は沖雅也が務め、全14回のエピソードで構成されています。

本作は前作『新 必殺からくり人』の続編となっており、物語の舞台はその流れを引き継いでいます。前作で登場したキャラクターたちも再登場し、例えば「泣き節お艶」は「出雲のお艶」と改名され、同様に「火吹きのブラ平」は「どじょうの宇蔵」として登場するなど、シリーズの一貫性が保たれています。新たに参加したメンバーもいて、特に一座からは虫の鈴平やうさぎが密偵役を兼ねて活躍します。

また、唐十郎という新しいキャラクターが沖雅也によって演じられ、彼は江戸と旅先を行き来する連絡役として重要な役割を果たします。唐十郎は、過去の作品とは異なり、理性的で現実的なキャラクターとして描かれています。このように、新旧のキャラクターが共存しながら物語は展開されます。

物語のテーマは、葛飾北斎の作品「富嶽百景」を元にした悪人退治の依頼です。依頼者である江戸の名絵師から暗号のように殺しの依頼が絵に仕込まれており、この独自の設定が物語を一層面白くしています。特に、前作とは異なり、依頼料の描写が省かれているため、一座が無償で活動している印象を受けます。

あらすじはこうです。出雲太夫一座は、江戸で活動を続けていましたが、突然に奉行所から「江戸十里四方所払い」を言い渡され、小屋を失う危機に直面します。その際、江戸の闇の大元締である西村永寿堂与八が現れ、一座に新たな依頼を持ちかけます。依頼は葛飾北斎の絵の中に隠された悪人退治であり、お艶たちはこれを受けて新たな旅に出発します。

本作の特徴としては、シリーズの他の作品と異なり、裏稼業のメンバーが誰一人として死なないという珍しい展開が挙げられます。これは、視聴者に安堵感を与えつつも、次回作以降での伝統的な殉職パターンが復活することとなります。

主要な登場人物には、出雲のお艶、宇蔵、虫の鈴平、うさぎ、そして永寿堂一派の唐十郎、西村永寿堂与八がいます。一座のメンバーそれぞれが持つ密偵役としての役割や独自の殺し技が物語を面白くし、視聴者を引き込みます。また、北斎親子も物語に関与し、実際の歴史に基づいたキャラクター配置がさらにリアルさを醸し出しています。

音楽と映像も重要な要素で、主題歌には小林旭の「夢ん中」が使用され、エンディング映像は前作から引き継がれています。全体として、視覚と聴覚の両面から楽しめる作品に仕上げられ、当時の視聴者に大きな印象を残したことでしょう。

『必殺からくり人 富嶽百景殺し旅』は、時代劇の楽しさと緊張感を兼ね備えた作品であり、シリーズファンにも新たなファンにも評価され続けています。

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