忌むべき十年間

忌むべき10年間：スペイン反動政治の時代

「忌むべき10年間」とは、スペイン王フェルナンド7世の治世末期、1823年から1833年までの期間を指します。ナポレオン戦争後の混乱から立ち直り、立憲政治への移行を試みたスペインでしたが、この10年間で再び絶対王政へと逆戻りし、社会全体が混乱と抑圧に苦しみました。

立憲政治の崩壊と反動政治の再来

半島戦争後、フェルナンド7世は帰国するなり1812年憲法を廃止し、議会を解散しました。これに対し、ラファエル・デル・リエゴ将軍が反乱を起こし、一時的に立憲政治が復活します（自由主義の3年間）。しかし、フェルナンド7世はヨーロッパの君主国に支援を要請。フランスの介入を招き、立憲政府は倒れ、フェルナンド7世が復位しました。

復位後、フェルナンド7世は自由主義者を徹底的に弾圧。リエゴ将軍は処刑され、多くの自由主義者が国外へ亡命しました。言論統制が強化され、旧制度が復活。フランス軍が駐留し、スペイン経済は疲弊しました。

王党派義勇軍の結成と政情不安

フェルナンド7世は、自由主義者を弾圧するために「王党派義勇軍」を結成しました。しかし、これが軍の不満を招き、政情不安をさらに悪化させます。1827年にはカタルーニャで反乱が勃発し、他の地域にも拡大。反動的な人々は、フェルナンド7世の復位が不十分であると不満を募らせました。

王位継承問題の発生

1830年、フェルナンド7世は「国事詔書」を発布し、女子にも王位継承権を認めました。これにより、弟のカルロスは王位継承権を失い、後のカルリスタ戦争の火種となります。フェルナンド7世の死後、娘のイサベル2世が女王として即位しますが、カルロスは王位を主張し、内戦へと発展しました。

忌むべき10年間の終焉とその後

フェルナンド7世の死によって、「忌むべき10年間」は終わりを迎えました。しかし、スペインはその後も内戦や政情不安に苦しみ、近代国家としての歩みは遅れることになります。この時代は、スペインの歴史における暗黒時代として記憶されています。

参考資料

Luis, Jean-Philippe. “La década ominosa (1823–1833), una etapa desconocida en la construcción de la España contemporánea”. Ayer: 85–118. ISSN 1134-2277.

外部リンク

History page about the Ominous Decade (スペイン語)

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