忍全功

忍 全功（しのぶ ぜんこう）は、1949年1月14日に大阪府で生まれた日本の元プロ野球選手です。現役時代は主に三塁手としてプレーしました。

高校時代

忍は奈良県の御所工業高校に進学し、野球部では主将を務めました。彼は走攻守のバランスが取れた選手として評価されていました。高校2年生だった1965年の秋季大会では、県大会決勝で延長12回の引き分け再試合の末に惜しくも敗れ準優勝となりましたが、続く近畿大会ではチームを優勝へと導きました。この頃は主に三番打者、そして二塁手として活躍しています。

翌1966年春には、近畿大会優勝校として第38回選抜高等学校野球大会に出場。しかし、初戦となる2回戦で石川県の金沢高校に敗れ、甲子園での勝ち上がりはなりませんでした。同年夏も再び甲子園を目指し、県予選決勝まで進出しましたが、郡山高校の好投手、植村秀明（のち近鉄ほか）に0対1で完封負けを喫し、紀和大会への出場権を逃しました。

プロ入りから大洋時代

高校卒業後、忍は社会人野球の強豪チームである日立製作所への就職が内定していました。しかし、1966年の第1次ドラフト会議でプロ野球の大洋ホエールズから2位指名を受けたことを受け、その進路を変更しプロ入りを決断します。

大洋ホエールズに入団した忍は、守備面では安定したプレーを見せましたが、プロのレベルに対応するには打撃力に課題があり、一軍の舞台に定着することが困難でした。若手選手が多く在籍するチームの中で、なかなか出場機会を得られず、目立った成績を残すことができないまま、1971年シーズン終了後に大洋ホエールズを退団しました。

太平洋クラブ時代と現役引退

一度はプロ野球の世界を離れましたが、野球への情熱が冷めることなく、忍は1973年に太平洋クラブライオンズの入団テストを受け、合格し再びプロ野球選手として復帰しました。この1973年シーズンに、彼はついに念願の一軍初出場を果たします。初出場は1973年4月22日、大阪球場で行われた対南海ホークス前期2回戦で、8回裏に三塁手として途中出場しました。その後の対南海ホークス前期3回戦、9回表には佐藤道郎投手からプロでの初打席を迎えましたが、結果は凡退でした。

その後も一軍での出場機会は限定的でしたが、プロ初安打を記録したのは、復帰から2年後の1975年でした。1975年4月5日、平和台球場での対日本ハムファイターズ前期1回戦、10回裏に代打として登場し、相手投手であった高橋直樹（のちロッテほか）から貴重な単打を放ちました。

しかし、この1975年シーズンを最後に、忍全功は現役を引退することを決断しました。

背番号

プロ野球生活で着用した背番号は以下の通りです。

• - 1967年（大洋）：34
• - 1968年 - 1971年（大洋）：67
• - 1973年 - 1975年（太平洋クラブ）：43

高校時代に甲子園出場や近畿大会優勝といった輝かしい実績を残し、ドラフト上位指名を受けてプロの世界に飛び込んだ忍全功でしたが、プロの厳しい競争の中でレギュラー定着は叶わず、短い現役生活に幕を下ろしました。そのキャリアは、多くの若手選手が直面するプロ野球の厳しさを物語っています。

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