忍法創世記

忍法創世記

『忍法創世記』は1969年に初めて発表され、2001年に単行本として刊行された山田風太郎による時代小説です。この作品は、「忍法帖シリーズ」の第26作品であり、時系列で見ると最も古い位置づけにあります。物語は、伊賀の忍法と柳生の剣法の誕生にまつわる歴史を背景としており、のちの作品に繋がる重要なエピソードが描かれています。

概要

物語の緒は、室町時代の南北朝の動乱期に設定されています。この時代、大和の柳生一族と伊賀の服部一族は、長年続いた対立を終わらせるため、両家の三兄弟と三姉妹が結婚することで一つの家族を形成しようとしました。しかし、足利の剣士「大塔衆」が柳生に救助を求めに現れ、さらに南朝からの三種の神器を奪うために柳生に剣法を伝えました。その一方で、伊賀には「菊水党」が忍法を駆使して神器を守るべく仕掛けてきました。

この争いの中、両家の三兄弟と三姉妹は神器を巡る戦いに巻き込まれることになります。彼らの関係は深く、お互いに愛し合っているため、忍法や剣法の習得を通じて成長するものの、最終的にはそれぞれの立場によって敵対せざるを得ない運命に翻弄されます。この物語は、愛情、裏切り、そして戦いを通じて描かれる人間ドラマでもあります。

主な登場人物

• - 服部半阿弥: 伊賀服部郷の領主で、家族を守るために必死に戦う。
• - 双羽、環、お鏡: 服部半阿弥の孫娘たちで、忍法を駆使しながら戦いに挑む。
• - 柳生一族の兄弟たち: 柳生庄の主やその孫たちが、武士としての誇りをかけて戦いに臨む。
• - 足利義満、細川武蔵守頼之: その時代の権力者たちがあり、神器争奪戦を影で操る。
• - 菊水党、大塔衆: 南朝と北朝の間で揺れ動く、様々な立場の忍者と剣士たち。

物語の中心テーマ

本作では、「三種の神器」を巡る争奪が鍵となっています。このテーマは、作中での人物たちの動機や行動を形作り、物語を進展させる大きな要因となります。また、縄田一男の解説によると、このテーマが続編への発展や単行本化が遅れた理由とも考えられています。

結論

『忍法創世記』は、時代小説でありながらも、深い人間関係や愛憎劇、忍法・剣法の技術に焦点を当てた作品です。戦国時代の日本を舞台に、忍の技と武士の誇りが交錯するこの物語は、読者に緊張感と期待を持たせる作品です。恋と戦いが複雑に絡み合った物語は、多くの読者に強い印象を残すでしょう。

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