忍法

忍法とは

忍法（にんぽう）は、忍者が用いる体術、および様々な道具を用いた技術の総称です。忍術（にんじゅつ）とほぼ同義で使われますが、フィクション作品においては、妖術や気功のように超人的な力を発揮する術を指す場合があります。しかし、忍術という言葉には、そのような意味合いはあまり含まれません。

忍法のルーツは古く、歌舞伎や狂言といった伝統芸能にまで遡ることができます。これらの芸能における忍者の描写が、後世の忍法という概念の形成に影響を与えたと考えられます。

作家の山田風太郎は、自身の作品「忍法帖シリーズ」を通して「忍法」という言葉を広めました。山田風太郎によれば、「忍法」という言葉を最初に見たのは、吉川英治の作品だったそうです。その後、白土三平の漫画『カムイ伝』などによって、忍者は超人的な能力を持つというイメージが定着していきました。

想像上の忍法

以下に、フィクション作品に登場する主な忍法を紹介します。中には、実際に使用できると考えられるものもあります。

錯覚を起こさせる術

分身の術
素早い体捌きによって、相手に自分が複数いるように見せかける術です。作品によっては、本当に自分の分身を作り出す描写も見られます（「影分身」などと呼ばれることもあります）。
変わり身の術
元々は、自分の身代わりとして丸太などを置き、相手の攻撃をかわすための術でした。しかし、近年の漫画やアニメなどでは、攻撃を受けた瞬間に近くの丸太などと入れ替わる演出が用いられます。
空蝉（うつせみ）の術
変わり身の術と似ていますが、丸太ではなく衣服などを用いて身を隠します。

五遁の術

遁（とん）とは、逃げるための術を意味します。以下は五遁の術として有名な忍法です。

火遁の術
火薬を用いて煙を発生させ、相手の視界を遮る術です。実用的な忍法として知られています。
水遁の術
竹筒などで呼吸を確保しながら、湖や池に身を潜める術です。これも実用的な忍法の一つです。
木遁の術
木の模様に似た布などで全身を覆い、周囲の景色に溶け込んで姿を隠します。
金遁の術
手裏剣などの金属を複数箇所に投げつけ、その金属音を利用して相手の注意を逸らし、自身の居場所を誤認させる術です。
土遁の術
事前に掘っておいた穴などに身を潜め、相手が去るのを待つ術です。

忍び道具を使う術

水蜘蛛の術
足に、雪道で使う輪かんじきのような道具を装着し、水面を移動する術です。
影縫いの術
相手の影に手裏剣などを打ち込み、相手の動きを封じる術です。実際には、影に対する暗示を利用した心理的な効果と考えられます。

その他

口寄せの術
動物を呼び寄せ、使役する術です。伝説的な忍者である自来也（児雷也）が大蝦蟇を呼び寄せる術が有名です。本来、口寄せとは、イタコなどの霊媒師が霊魂を呼び寄せる術を指します。

関連事項

忍術：忍者が用いる技術全般を指します。
忍者：忍術を使う人々です。
三苗人：古代中国に存在したとされる民族で、魚の血を足の裏に塗ることで水面を歩くことができたという伝説があります。

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