忍法相伝64

『忍法相伝64』

『忍法相伝64』は、1964年に発表された山田風太郎の時代小説で、『週刊大衆』に連載された忍法帖シリーズのひとつです。この作品は、コント55号が主演した映画『俺は忍者の孫の孫』の原作にもなっています。また、その後に執筆された続編『忍法相伝73』にもつながります。

物語の解説

物語は、大昔に生きた忍者・伊賀風忍斎が遺した巻物「忍法相伝書」に基づいています。この巻物には、忍法の数々が記されており、前作までの63篇は試みた誰かによって失敗とみなされ、朱でバッテンが付けられています。主人公の伊賀大馬は、運送会社で働く29歳の青年で、伊賀忍者の血を引いています。

彼は、この中で唯一バッテンがない「忍法相伝64」を試してみることにします。この忍法は「忍法墨消し」と呼ばれ、あらゆる印刷物を白紙にする力を持っています。しかし、彼がこの忍法を使ったところ、紙幣や免許証までもが真っ白になってしまいました。これは、彼にとって予想外の結末でした。

登場人物

• - 伊賀大馬：本作の主人公で、29歳。忍者の末裔であり、運送会社の事務員として生活しています。
• - 芦谷美登：23歳で、大馬が恋心を抱く女性です。物語上、彼の思いの中で重要な位置を占めます。
• - 芦谷洋：美登の弟であり、中学生の少年です。

忍法の特徴

本作に登場する主要な忍法「忍法墨消し」は、大馬の奇想天外な冒険を引き起こします。彼の行動が、どのように偽札の騒動に発展するのか、作品を通じて描かれています。

その他の情報

伊賀大馬は、山田風太郎の他の推理小説や奇想小説にも登場するキャラクターで、彼を描いた作品は同じ世界観を共有しています。このため、『忍法相伝64』を読むことで、山田作品全体の楽しさがより深まります。

単行本と映画化

本作は単行本としては未収録のまま、続編『忍法相伝73』が発表された後も根強い人気があります。また、映画『俺は忍者の孫の孫』において伊賀大馬の物語が映像化され、観客を魅了しました。主演はコント55号で、キャストには萩本欽一や坂上二郎が名を連ねています。

このように、『忍法相伝64』は、忍者の伝説を現代の日本に組み入れたユニークな作品であり、忍者文化や人間模様を描いた魅力的なストーリーが展開されています。

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