志水廣

志水 廣（しみず ひろし）

日本の数学者であり、特に数学教育の分野で著名な教育者。1952年、神戸市に生まれる。現在は愛知教育大学の教授として、未来の教員育成に携わっている。

経歴

志水氏は、そのキャリアを公立小学校の教壇からスタートさせた。大阪教育大学を卒業後、故郷である神戸市の小学校で教諭として勤務。現場での経験を積んだ後、より専門的な研究を目指し、兵庫教育大学大学院で数学教育を専攻し修了した。その後、教育実践の最先端である筑波大学附属小学校で教諭を務め、実践的な指導法や教材開発に深く関わった。これらの経験を経て、愛知教育大学の教授に就任。長年にわたり、学部生や大学院生に算数・数学教育の専門知識や指導法を教えている。

教育活動と貢献

大学での教育研究活動と並行して、志水氏は全国各地の教育現場の支援にも精力的に取り組んでいる。小学校や中学校からの求めに応じてコンサルティングを行い、授業改善や学力向上に向けた実践的なアドバイスを提供。また、各地で開催される算数・数学教育の研究会では指導的役割を果たし、現場の教員たちの学びを深める手助けをしている。さらに、教員の授業力向上を目的とした研修会「教師塾」を主宰しており、多くの現職教員がその指導法や教育観から学んでいる。

志水氏の教育に対する姿勢は、子どもたちが「わかる」「できる」ことを何よりも大切にする点にある。小学校教諭としての経験から、子どもたちのつまずきやすいポイントや、どのようなアプローチが理解を促進するかを熟知しており、その知見を基盤とした指導法を提唱している。著書からは、「○つけ法」「意味付け復唱法」「志水メソッド」といった具体的な手法が見られ、単なる知識伝達に終わらない、子ども主体の学びや定着を重視する教育観がうかがえる。

主な著作

志水氏の著書は、教育現場の教員にとって実践的な手引きとなるものが多く、すべて明治図書出版から刊行されている。教育理論だけでなく、明日からの授業で即使える具体的なアイデアやノウハウが豊富に盛り込まれているのが特徴である。

単著:

『算数科・教材開発のマニュアル』（1991年）
『分かる・できる算数授業づくりのコツ―教師も子どもも元気が出る』（1997年）
『算数科:「○つけ法」で授業が変わる・子どもが変わる』（2004年）
『算数力がつく教え方ガイドブック』（2006年）
『新算数科教材開発の理論と実践』（2006年)
『中学校数学科・志水式音声計算トレーニング法』（2006年）
『「愛」で育てる算数数学の授業―授業はキャッチ&リスポンス』（2007年）
『志水メソッドによる算数の授業づくり―どの子も「わかる」「できる」授業』（2009年）

共著:

『算数科「意味付け復唱法」のアイデアと展開―子どもの言葉で算数の授業を創ろう!』（井出誠一と共著、2006年）
『子どもが活躍!算数授業創造のネタ30選―「かかわり合い」から授業をみがく・子どもを鍛える』（蜂須賀渉と共著、2006年）
『活用力を高める発展・補充問題72選』（諏訪算数数学教育研究会と共著、2008年）
『算数科 学ぶ喜びを育む学習の創造―志水メソッドとの出会い』（長野県岡谷市立岡谷小学校と共著、2008年）

これらの著作や多岐にわたる活動を通じて、志水廣氏は日本の算数・数学教育の質の向上に大きく貢献し続けている。

関連項目: 数学教育

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