明治図書出版

明治図書出版：教育出版における百年を超える歴史

明治図書出版は、日本の教育出版業界において、100年以上の歴史を誇る老舗出版社です。東京都北区に本社を置く同社は、教職員向けの教育書や、児童・生徒向けの学習書を中心に、幅広い出版物を発行しています。

創業と試練：歴史教育への情熱と関東大震災

明治図書出版の起源は、1912年（明治45年）に京都府の教師、藤原惣太郎氏が7年の歳月をかけて完成させた『日本歴史地図』にあります。この地図は当時の著名な歴史教育学者からも高い評価を受け、藤原氏はこれを機に上京し、同年6月には『日本歴史地図・二十軸』を刊行しました。その後、1923年（大正12年）の関東大震災で事務所や倉庫を焼失するも、取引先の協力の下、事業を継続。この経験は、同社の歴史に深く刻まれています。

戦時下と復興：思想統制と教育の灯

昭和初期、明治図書出版は新教育協会の出版物を多数刊行し、事業規模を拡大しました。しかし、第二次世界大戦が始まると、政府による出版物への統制が強化され、1943年には大八州出版株式会社に統合、1944年には解散を余儀なくされました。終戦後、1945年（昭和20年）10月、2代目社長藤原政雄氏が教育出版事業を再開。教師経験を持つ藤原政雄氏は、教育現場への深い理解を活かし、同社の再建に尽力しました。

学習書部門の創設と成長：時代のニーズに対応した出版

1959年（昭和34年）、創立50周年を記念して学習書部門が設立されました。「夏休みの絵日記」を皮切りに、計算ドリル、漢字ドリルなど、現在も続く人気シリーズの原型となる商品が次々と誕生しました。特に、1962年（昭和37年）に刊行された『整理と対策』や『積み上げテスト』は、学習書部門を代表するロングセラー商品となり、同社の成長を支えました。都立高校の入試制度変更といった教育環境の変化にも対応し、家庭学習教材の充実を図るなど、常に時代のニーズを先取りする姿勢が、明治図書出版の成功を導きました。

発展と多角化：情報化社会への対応

1965年（昭和40年）には大塚に新社屋が完成。その後、物流部門の拡充やコンピュータシステムの導入など、時代の変化に対応した経営戦略を展開しました。1998年にはホームページを開設し、オンライン販売を開始。2010年には教育記事データベースを、2011年にはウェブマガジン『教育zine』を開設するなど、デジタル技術を活用した事業展開も積極的に行っています。2012年には本社を滝野川に移転。近年は電子書籍の配信も開始し、変化し続ける教育現場のニーズに応え続けています。

明治図書出版の貢献

明治図書出版は、創業以来、教育現場を支える質の高い出版物を提供し続けてきました。歴史教育への情熱から始まった同社の歩みは、日本の教育史そのものと深く関わっています。今後も、教育の未来を見据え、新たな価値を創造し続けることでしょう。

参考文献

明治図書五十年史
明治図書六十年史

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