志澤

志澤百貨店の歴史

志澤（しざわ）は神奈川県小田原市を拠点に展開していた地方百貨店で、屋号は「入船」として知られていました。この店舗は、地元の人々に愛され、数十年にわたり地域の商業の中心として機能しましたが、最終的には消滅しました。その歴史を遡ると、創業者の志澤宏一が1933年6月に日本橋で「志澤商店」を開業したことから始まります。この時、商売の中心は京呉服でありました。

戦火を経ての復活

第2次世界大戦中の厳しい統制下で、商業活動は一時的に停止しましたが、1947年には小田原市緑町に「志澤呉服店」を起業し、1949年には資本金120万円をもって「株式会社志澤」を設立しました。これが百貨店としての志澤の原点です。

多店化と大型店舗の増設

1956年11月には、地下1階・地上3階建ての新店舗を新築し、呉服や寝具から服地、洋品、そして食堂、さらには遊技場まで充実した売場を展開しました。その後、店舗は増築を重ね、1963年には平塚市に地下1階・地上7階建ての6,032平方メートルの大型店舗を開業しています。この段階で、商圏は湘南地区周辺の約60万人を対象としていました。1968年には小田原本店が栄町に開店し、1972年には厚木店もオープンしました。

西武百貨店との提携

1975年には西武百貨店と提携し、出資を受けることでさらなる飛躍を目指しました。しかし、経済環境の変化や競合の影響で、徐々に厳しい状況が続きました。特に、近隣の商業施設の発展に伴い、平塚の商圏人口は減少傾向にありました。これにより、1975年に平塚店が閉店し、その後も不採算店であった厚木店や藤沢店が閉店を余儀なくされました。

合併とその後

1980年には「緑屋」との合併を経て「西武クレジット」となり、業務は西武百貨店へ委託されました。その結果、1983年に「志澤西武」に改名され、小田原店は運営の一環として生き延びることができました。ピーク時の1991年度には売上高が約120億円に達しました。

しかし、バブル崩壊の影響から、売上は1997年度には60億円までに減少し、その後、契約解除が通知されました。1998年8月には小田原店が閉店し、最終的には藤沢西武も1997年に閉店しました。これにより、志澤が運営していた全ての店舗が消滅することとなりました。

残された足跡

志澤の歴史は、百貨店業界の変遷と密接に絡み合っており、地域における商業発展の一部を形作った存在でした。かつてあった店舗の跡地には、今では新たな商業施設やサービスが立ち並び、志澤の面影は過去のものとなっています。それでもなお、地元の人々の記憶の中には、志澤百貨店の輝かしい時代が刻まれていることでしょう。

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