志発島

志発島（しぼつとう）

志発島は、歯舞群島に属する島の一つで、同群島内では最大の面積を誇ります。この島は、日本が領有権を主張する北方領土の一部であり、現在はロシア連邦が実効支配しています。ロシア語名はゼリョーヌイ島（Зелёный (Малая Курильская гряда)）といい、「緑の島」という意味を持ちます。

地理と景観

納沙布岬に建てられた望郷の塔からは、水晶島の向こうに志発島の姿を望むことができます。島の周辺海域は昆布をはじめとする豊富な水産資源に恵まれており、漁場として重要な役割を果たしています。

地名の由来

志発島の地名は、アイヌ語の「シペ・オッ（鮭・群在する所）」に由来するとされています。これは、島の北東部と南西部に位置する河川で、かつて鮭が豊富に獲れたことにちなんだ名前が付けられていることからも裏付けられます。また、戦前の地図には「塩津島」という表記も見られました。

歴史

江戸時代の志発島は無人島であり、「島内は中央部を除いてほとんど樹木はなく、周囲は約10里。南東は砂浜、北東には沼がある」と記録されています。1799年（寛政11年）には、根室と厚岸両場所のアイヌが立ち会い、厚岸側の漁場となりました。

1945年、第二次世界大戦終結直後にソ連軍が侵攻・占領し、現在に至るまでロシア連邦が実効支配を続けています。日本政府も領有権を主張しており、第二次大戦前は歯舞村に属していましたが、1959年に根室市へ編入されました。

1969年には、ソビエト側の許可を得て日本から墓参団が派遣され、戦後初めて西浦泊への上陸が実現しました。

現在、志発島に定住人口はいませんが、夏になると昆布採取のためにロシア漁民が季節的に移住してきます。また、夏季には臨時の食堂も営業されます。

当該地域の領有権に関する詳細は、千島列島及び北方領土の項目を、現状に関してはサハリン州の項目を参照してください。

参考文献

* 日本歴史地名大系（オンライン版） 小学館 （『日本歴史地名大系』 平凡社、1979年-2002年 を基にしたデータベース）

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