忘れられた人々

ルイス・ブニュエル監督が、1950年にメキシコで製作した映画が『忘れられた人々』です。そのスペイン語原題は『Los olvidados』といい、発表以来、世界の映画史において重要な位置を占める作品とされています。

本作の撮影は、1950年の2月にメキシコの首都メキシコシティで行われました。活気あふれる市内各所でのロケーション撮影に加え、現地のテペヤック撮影所にてセットを用いた撮影も並行して進められました。この作品はウルトラマー・フィルムが製作を手がけています。

製作完了後、映画は1950年11月9日からメキシコ国内で一般公開が始まりました。翌1951年、フランスで開催された第4回カンヌ国際映画祭に出品され、国際的な注目を集めます。この映画祭でルイス・ブニュエル監督は最も優れた監督に贈られる監督賞を見事に受賞し、本作は世界的にその評価を確立しました。さらに時を経て、2003年にはユネスコによって世界の貴重な文化遺産である「世界の記憶」に登録され、後世に伝えるべき重要な作品として認められています。

『忘れられた人々』は、太平洋を越えて日本にも紹介されました。パールハウス映画が本作を輸入し、1953年8月11日には松竹洋画部との共同配給という形で日本の劇場で公開されました。また、時代を経て、家庭で手軽に鑑賞できるビデオグラムとしてもリリースされています。具体的には、1990年にVHSソフトが、そして2008年にはDVDソフトが発売され、日本の映画ファンの間で長く親しまれています。

この作品を完成させた主要なスタッフは多岐にわたります。

プロデューサー：オスカル・ダンシヘルス
監督・脚本：ルイス・ブニュエル
脚本：ルイス・アルコリサ
撮影：ガブリエル・フィゲロア
編集：カルロス・サバヘ
音楽：ロドルフォ・アルフテル、グスタボ・ピッタルーガ

また、ノンクレジットではありますが、マクス・アウブ、フアン・ラレア、ペドロ・デ・ウルディマーラスが台詞協力という形で貢献しています。

出演者には、ペドロの母親役のエステラ・インダ、盲目の大道芸人ドン・カルメロ役のミゲル・インクランといったベテラン俳優に加え、主人公の少年ペドロ役をアルフォンソ・メヒア、不良グループのリーダー格であるエル・ハイボ役をロベルト・コボ、そしてメーチェ役をアルマ・デリア・フエンテスらが演じ、印象的な演技を見せています。感化院の院長役はフランシスコ・ハンブリナが務めました。他にも、フリアンの父役としてイエスズ・ガルシア・ナバロ（イエスズ・ナバロ）、カカリソ役のエフライン・アラウス、ペロン役のホルヘ・ペレス、フリアン役のハビエル・アメスクア、オヒトス役のマリオ・ラミレスといった俳優が出演しています。ノンクレジットでナレーションを担当したのはエルネスト・アロンソです。

作品データは以下の通りです。

上映時間：85分
フォーマット：白黒、スタンダードサイズ（アスペクト比 1.37:1）、モノラル音声

これらの仕様は、製作当時の一般的な映画のスタイルを反映しています。

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