応履平

応履平（おう りへい、1375年 - 1453年）は、明代に活躍した官僚であり、字を錫祥、号を東軒と称しました。彼の出身は寧波府奉化県です。

応履平は、建文2年（1400年）に進士の試験に合格し、官僚としての道を歩み始めました。最初に任じられたのは徳化知県であり、その後、吏部郎中を経て、常徳知府として地方行政に携わりました。宣徳帝の治世初期には、その能力を認められ、貴州按察使に抜擢されました。

貴州按察使としての応履平は、職務に忠実であり、不正を厳しく糾弾しました。宣徳7年（1432年）には、右軍府から貴州に派遣された者が、勘合の決まりを遵守していない事実を告発しました。この指摘を受けて、宣徳帝は都督の陳政を処罰しました。また、広西に駐屯する山雲の部隊に、貴州から1万人の軍が送られており、春と秋に交代する制度であったにもかかわらず、多くの兵士が逃亡している事態を憂慮しました。応履平は、山雲が逃亡兵を捕らえようとしないことを問題視し、このままでは貴州を守る兵がいなくなると訴えました。宣徳帝はこれを受け、山雲に逃亡兵を追跡するよう命じました。

山雲は、広西の鎮定で功績を挙げた将軍であり、応履平を単なる書生と軽んじていました。しかし、応履平は正統元年（1436年）に、山雲が権力を濫用しているとして弾劾しました。山雲はこれを受けて引責を求めましたが、英宗は山雲を許しました。翌年、応履平は貴州の軍府に関する四つの事柄を上奏しました。彼のこれらの行動は、官僚としての責任感と正義感を示すものでした。

正統3年（1438年）、応履平は雲南左布政使に転任しました。雲南では、麓川での軍事行動について、しばしば上奏を行いました。彼のこの軍事問題への関与は、彼の多岐にわたる能力を示すものです。そして正統8年（1443年）、応履平は官を辞し、故郷に帰りました。彼はその生涯を官僚として勤め上げ、その間、地方行政から軍事問題まで幅広い分野で活躍しました。

応履平は、その優れた知識と経験を後世に伝えるため、『東軒集』という著書を残しました。この著作は、彼の思想や活動を知る上で重要な資料となっています。応履平は、明代の官僚として、その職務に忠実であり、不正を糾弾し、国のために尽力した人物として、歴史に名を残しています。彼の生涯は、官僚としての模範であり、その功績は今日まで語り継がれています。彼の行動は、後世の官僚たちに大きな影響を与え、その志は高く評価されるべきでしょう。

応履平の生涯は、明代の社会や政治状況を理解する上で重要な手がかりを与えてくれます。彼の業績は、単に個人の成功にとどまらず、当時の社会の発展に大きく貢献しました。彼の生き方は、現代においても多くの示唆を与えてくれるでしょう。

参考文献

* 『明史』巻161 列伝第49

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