念仏寺 (神戸市)

念仏寺：歴史と自然が織りなす静寂の空間

兵庫県神戸市北区有馬町に佇む念仏寺は、浄土宗に属する由緒ある寺院です。摂取山と号し、本尊は阿弥陀如来。その歴史は古く、享徳5年（1532年）、岌誉によって創建されました。本尊の阿弥陀如来立像は、平安時代後期から鎌倉時代にかけて活躍した仏師、快慶の作と伝えられており、その荘厳な姿は多くの参拝者を惹きつけます。

創建当初は谷之町にありましたが、安土桃山時代の慶長年間（1596年～1615年）に現在地に移転しました。この地は、豊臣秀吉の正室である北政所（ねね）の別邸跡だったと言われています。北政所の息遣いが感じられる土地に建つ念仏寺は、歴史の重みを感じさせます。

現在の本堂は、江戸時代中期、正徳2年（1712年）に再建されたものです。古い石垣の上に建つその姿は、有馬温泉郷最古の建築物として知られ、歴史的にも貴重な存在です。重厚な木造建築は、時の流れを感じさせながらも、静謐な空間を創り出しています。

境内：四季折々の魅力

境内には、本堂の他に、庫裏、そして見事な庭園「沙羅樹園」が広がります。沙羅樹園は、樹齢270年を数える沙羅双樹（サラソウジュ）を中心とした庭園で、その美しい姿は「神戸花50選」にも選ばれています。6月～7月には、可憐な沙羅の花が咲き誇り、幻想的な空間を演出します。さらに、蛤石や雀石といった趣のある石造物も配置され、散策する人の心を癒します。

また、境内には寿老人堂や少年法然上人像などがあり、それぞれが独特の雰囲気を醸し出しています。

見所：歴史と信仰の証

念仏寺の見所は、歴史的価値の高い建造物や仏像だけではありません。

寿老人像: 神戸七福神の一つとして信仰を集める寿老人像は、多くの参拝者から崇敬されています。
阿弥陀如来立像: 伝快慶作とされる本尊の阿弥陀如来立像は、高さ2尺5寸（約75cm）で、その慈悲に満ちた表情は、見る者の心を安らかにしてくれます。
法然上人画像「月輪御影」: 法然上人の肖像画は、静かに歴史を語りかけてくれます。

これらの見所は、念仏寺の長い歴史と、人々の信仰の深さを物語っています。

行事：自然と文化の融合

念仏寺では、季節に合わせた様々な行事も開催されています。中でも、「沙羅の花と一弦琴の鑑賞会」は、沙羅樹園を舞台に、6月～7月の開花時期に行われる人気のイベントです。有馬温泉観光協会主催のもと、一弦琴の音色が沙羅の花の香りと相まって、幻想的な雰囲気を創り出します。

アクセス：有馬温泉への旅

念仏寺は、交通アクセスも良好です。

神戸電鉄有馬線 有馬温泉駅から徒歩10分
* 六甲有馬ロープウェー 有馬温泉駅から徒歩10分

有馬温泉を訪れた際には、ぜひ念仏寺に立ち寄り、歴史と自然に包まれた静寂のひとときを過ごしてみてください。 神戸十三仏霊場、神戸七福神、有馬郡西国観音霊場といった霊場巡りのコースにも含まれており、霊場巡りの旅の拠点としても最適です。 静寂に包まれた境内は、日々の喧騒を忘れ、心安らぐ時間を提供してくれるでしょう。

住所：〒651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町1641

もう一度検索