念力家族

念力家族：短歌と家族の物語

2003年、歌人笹公人氏の処女歌集『念力家族』が世に出た。聖書サイズの特異な装丁、大活字で一頁一首という、北原白秋『桐の花』を思わせる独特のスタイルが特徴だ。1000部限定で発売された本書は、皆神龍太郎氏による紹介をきっかけに注目を集め、その後、新装版、文庫版と版を重ね、広く読まれる作品となった。演出家・蜷川幸雄氏や歌人・藤原龍一郎氏からも賞賛の声が上がり、「笑える歌集」と評されるなど、高い評価を獲得した。

『念力家族』は、超能力を持つ個性豊かな家族の日常を描いた作品だ。テレパシーを使う長女、目からビームを出す母親、そして個性的な家族たちが織りなす物語は、ユーモラスでありながら、家族の温かさや絆を深く感じさせる。この作品は『念力姫』『念力図鑑』と共に、“念力三部作”として知られ、独特の世界観と魅力的なキャラクターによって、多くの読者を魅了し続けている。

初版から12年後、ついに『念力家族』はテレビドラマ化された。映画化やアニメ化といった企画も持ち上がっていたが、実現したのはNHK Eテレの『天てれ』ドラマ枠だった。これは、著者と親交のある脚本家、佐東みどり氏の企画によるものだ。2015年3月30日から9月14日にかけて放送されたSEASON1は、大きな話題を呼び、2016年にはSEASON2が放送された。

ドラマ版では、高校生でテレパシーを持つ長女・玲子や、目からビームを出す母親・静など、個性的な家族たちが生き生きと描かれた。玲子が憧れる山田先輩や、友人たちとの交流、そして家族間の温かい触れ合いなど、歌集の世界観が見事に映像化された。ドラマの成功は、原作の人気の再燃にも繋がり、更なる注目を集めた。

ドラマ版の成功を踏まえ、佐東みどり氏によってスピンオフ小説『念力家族 〜玲子はフツ～の中学生〜』も2016年に発売された。原作の短歌を基に、新たな物語が紡がれ、ドラマでは描かれなかった部分や、キャラクターたちのより深い心情が描かれている。絵を担当したのは片浦氏だ。

『念力家族』は、独特のスタイルとユーモラスな物語、そして家族の温かさで読者や視聴者を魅了する作品である。限定出版から始まり、テレビドラマ化、スピンオフ小説と、様々な形で展開し続けるその人気は、作品の魅力と、多くの人々の心に響く普遍的なテーマを物語っていると言えるだろう。短歌という形式を通して描かれる家族の物語は、世代を超えて愛され続ける、現代の古典と言えるだろう。

主な登場人物

念力玲子: 高校生。テレパシー能力を持つ。山田先輩に憧れる。
念力静: 玲子の母。目からビームを発射する能力を持つ。
念力雄一郎: 玲子の父。
念力源太郎: 玲子の祖父。
念力豊: 玲子の兄。
念力奈々: 玲子の妹。
山田誠司: 玲子の先輩。部活の部長。
立花果歩: 玲子の友人。山田先輩に憧れる。
村西光、新谷和也、石田久枝: 奈々の先輩や玲子の友人たち。

スタッフ

短歌：笹公人
脚本：佐東みどり、木滝りま
テーマ音楽：挫・人間 「念力が欲しい!!!〜念力家族のテーマ」
音楽：Gutevolk
プロデューサー：坂田淳
* 演出：村主岳史、渡部真

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