怕尼芝王統

怕尼芝王統（はねじおうとう）

怕尼芝王統は、沖縄本島の北部を拠点とし、最後の山北王国を代表する王朝です。この王統は、かつての勢力範囲や治世について多くの興味深い逸話と伝説を持っています。

経歴

この王統は、今帰仁グスクを中心にして影響力を持っていました。国頭やその周辺の小さな島々、さらに奄美群島の南部もその勢力圏に含まれていました。明朝への朝貢の回数が少なかったため、国力は三山（山北、山南、南山）の中でも低かったと見られています。

名称

「怕尼芝」という名前は、中国の漢字を音写したものであり、他にも「攀安知」といった表記が存在します。これらの名前の背後には、羽地按司やトルコ語の「ハン」（王）と「アンチ」（弓術の達人）が組み合わさったという説もあり、名称の多様性が伺えます。

歴代の王

1. 初代: 怕尼芝（はねじ、ハニシ） - 在位1322年頃 - 1395年頃。彼の治世は約70年にわたり、同名の親子がそれぞれ同じ名を使用していたのではとの話もあります。
2. 二代: 珉（ミン） - 在位1396年頃 - 1400年頃。これは怕尼芝の長男です。
3. 三代: 攀安知（はねじ、ハンアンチ） - 在位1401年頃 - 1416年。彼は珉の長男で、父の後を継ぎました。

伝説と起源

王となった経緯は、おもろさうしにおいて興味深く描かれています。従兄弟である今帰仁仲宗根若按司を討ち、山北王の地位を獲得したとされています。ここから、北山の起源に関する様々な説が生まれており、湧川王子の曾孫であるとの説や、元朝の時代の遺民が関わったという説があります。

与論島と沖永良部島

この王統のある代に、与論島と沖永良部島の平定が行われ、それぞれに王子がその島の支配者として君臨したとされています。与論島では王舅（おうしゅん）、沖永良部島では真松千代（ままちぢよ）が草分け的存在で、両者は兄弟だったと伝えられています。これは北山（国頭）とこれらの島々が同じ王族により統治されていたことを示唆しています。現在、この地域では沖永良部・与論・沖縄の北部方言が話されています。

最後の王統

1416年に北山王国が滅ぼされると、与論島と沖永良部島は中山王国、次いで琉球王国の支配を受けることとなりました。この歴史的背景を理解することは、沖縄の文化や歴史を深く知るための重要な手掛かりとなります。

参考文献

• - 吉成直樹『琉球王国は誰が作ったのか〜倭寇と交易の時代』（七月社，2020）ISBN978-4-909544-06-3

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