思南府

思南府は、中国の歴史において、明代から民国初期にかけて存在した地方行政区画です。現在の貴州省銅仁市西部に位置し、その歴史は明朝の地方統治政策と密接に結びついています。以下に、思南府の成立から廃止までの詳細を記述します。

思南府の成立

思南府の前身は、1373年（明の洪武6年）に設置された思南宣慰司です。この思南宣慰司は、後に思南道宣慰使司と改称されました。この時点では、まだ府としての組織は整っておらず、地域を統括する役所という位置づけでした。

1413年（永楽11年）、明朝は地方行政制度の改革を行い、思南道宣慰使司を思南府と改称しました。この改称により、思南府は正式な地方行政区画としての地位を確立しました。府は、県を管轄するより上位の行政組織であり、この改称は地域の重要性が高まったことを示しています。

思南府の管轄

思南府は、貴州省に属し、以下の県と長官司を管轄していました。

県：
安化県
婺川県
印江県

長官司：
蛮夷長官司
沿河祐渓長官司
朗渓蛮夷長官司

これらの県と長官司は、思南府の管轄下で地方行政を担っていました。長官司は、主に少数民族が居住する地域に設けられた特別な行政区画であり、中央政府の直接統治が行き届かない地域を間接的に統治するために設けられました。

清代の思南府

清朝が中国を支配するようになると、思南府の行政区画は基本的に明代のものを引き継ぎました。清代においても、思南府は貴州省に属し、以下の3県を管轄しました。

安化県
婺川県
* 印江県

清代には、明代に存在した長官司は整理され、より中央集権的な地方行政制度が採用されました。思南府は、この時代にも地域の行政、経済、文化の中心としての役割を果たしました。

思南府の廃止

1912年に清朝が滅亡し、中華民国が成立すると、地方行政制度の改革が行われました。1913年、中華民国政府は、旧来の府制度を廃止し、新たな行政区画を設ける決定を下しました。この改革に伴い、思南府は廃止され、その歴史に幕を閉じました。廃止後、思南府の管轄地域は、新たな行政区画に再編されました。

まとめ

思南府は、明代から民国初期にかけて存在した重要な地方行政区画であり、その変遷は、中国の歴史における地方統治制度の変革を反映しています。思南府の歴史は、地方行政の変遷を理解する上で重要な事例の一つと言えるでしょう。

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