思潮社

思潮社について

思潮社（しちょうしゃ）は、日本の詩に特化した出版社として、多くの詩作品、現代詩、詩評論を扱っています。特に代表的な刊行物としては、月刊詩誌『現代詩手帖』や新書版の現代詩文庫シリーズがあります。思潮社は、日本の現代詩界において重要な役割を果たしています。

歴史と設立背景

思潮社は、自身も詩人である小田久郎の手によって1956年に設立されました。その前身は世代社であり、この時期から雑誌『世代』の発行を行っていました。この『世代』はその後、思潮社に引き継がれ、現在の『現代詩手帖』へと発展しました。1959年に『現代詩手帖』が創刊され、以来日本の詩人や詩愛好者に愛読され続けています。

1960年には、優れた詩作品に与えられる現代詩手帖賞が創設されました。この賞からは金井美恵子や伊藤比呂美といった著名な詩人が誕生し、最近では最果タヒなどの新しい才能も輩出されています。このように、思潮社は詩の未来を担う新人作家を育成する重要な場となっています。

現代詩手帖の影響力

『現代詩手帖』は、詩が果たすべき役割やその未来についての様々な問題提起を通じて、戦後の詩壇に多大な影響を与えています。特に湾岸戦争に関連した反戦運動の中で、詩と政治の関係について藤井貞和や瀬尾育生による白熱した論争が展開されるなど、社会に深く関与した議論も行われてきました。

主要な刊行物

思潮社は、1956年の設立以来、多くの重要な詩誌を発行しています。以下に、主な略歴を示します。

• - 1956年 - 小田久郎によって世代社として創立される。
• - 1959年6月 - 『現代詩手帖』が創刊。
• - 1960年 - 現代詩手帖賞が創設され、詩作品の奨励を行う。
• - 1968年 - 『現代詩文庫』の刊行が始まる。
• - 1983年 - 女性向けの詩誌『現代詩ラ・メール』が創刊。
• - 1988年 - 『現代詩ラ・メール』が別の出版社から発行されつつも、思潮社が発売元として名を残す。
• - 1993年 - 『現代詩ラ・メール』が終刊。
• - 2006年 - 思潮社の50周年記念祭が開催される。
• - 2009年 - 現代詩手帖創刊50周年記念祭が行われる。

関連文献

思潮社の歴史や小田久郎の影響に関する文献も数多く存在します。中でも1995年に新潮社から出版された小田久郎の『戦後詩壇私史』は、第22回大佛次郎賞を受賞しています。また、2023年8月号の『ユリイカ』による特集も、彼の功績を振り返る貴重な資料となっています。

思潮社は今後も日本の詩の発展に寄与し続ける出版社として、多くの詩人や文学愛好者に支持されることでしょう。

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