怠惰

怠惰とは

怠惰とは、一般的に「すべきことを怠ける様子」を意味する言葉です。しかし、その背景には心理的な要因や、誤解されがちな側面も存在します。

心理学における怠惰

心理学において、怠惰は必ずしも精神的な問題と同一視されるものではありません。レオナルド・カーマイケルは、心理学の研究が、オペラント箱の実験における動物の行動原理の解明に偏重している現状を指摘し、人間のより複雑な動機付け、例えば詩人が詩を書く動機や、科学者が研究に没頭する動機の解明が疎かになっていると述べました。

怠惰は、意欲の消失、ADHD、抑うつ、睡眠障害、統合失調症といった精神障害の症状と混同されることがありますが、本質的には習慣の問題として捉えられるべきです。自尊心の欠如、他者からの承認欲求の不足、自信のなさからくる練習不足、活動への興味や効果を信じる気持ちの欠如などが、怠惰の根本的な原因となり得ます。

また、怠惰は先延ばしや迷いから生じることもあります。強い刺激や過度の衝動、気を散らすものによって意欲が減退し、結果として怠惰な行動につながるのです。このような刺激や衝動による報酬は、ドーパミンの放出を促し、神経伝達物質の応答を増加させます。ドーパミンが過剰に放出されると、生産的で価値ある行動への評価が低下し、快楽に対する不寛容性が増大します。この感覚の鈍化は、ニューラルパターンの変化や、リスク認識に関わる前部島皮質に悪影響を及ぼす可能性があります。

キリスト教における怠惰（通説の誤り）

日本語のブログで流布している情報として、キリスト教における怠惰（sloth）は七つの大罪の一つであるというものがあります。しかし、この情報は学術的な根拠に乏しく、誤解を含んでいます。元々は「仕事をせずに怠けている状態」ではなく、安息日を休まず働き続けることを戒める教義である、という説がありますが、これもまた正確ではありません。

関連事項

先延ばし
怠ける権利
サボる
野良
* 怠慢

怠惰という言葉の背後にある心理的、社会的な要因を理解することで、より建設的な問題解決につなげることができるでしょう。

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