急場

急場（きゅうば）

意味

「急場」という言葉は、一般的には、何かが差し迫っており、すぐに対処しなければならない状況を指します。この言葉は、日常会話やビジネスシーンなど、さまざまな場面で用いられます。例えば、「急場をしのぐ」「急場を切り抜ける」といった表現があります。これらの表現は、困難な状況を一時的にでも乗り越えることを意味し、その状況がどれほど逼迫しているかを示唆しています。

囲碁における急場

囲碁の世界では、「急場」は特別な意味を持ちます。特に序盤から中盤にかけて、盤面全体を見渡した際に、他の場所よりも優先して打つべき重要なポイントを指します。これらのポイントは、単に大きな場所（大場）であるだけでなく、石の生死や陣地の確保に直接的に関わるため、非常に戦略的な意味を持ちます。

急場の具体例

1. 石の根拠: 自分の石がしっかりと生きるために必要な場所。ここを放置すると、石が取られてしまう危険性があるため、最優先で打つ必要があります。
2. 石の競り合い: 相手の石と自分の石が接している箇所。この場所の攻防は、局地戦の優劣を左右する重要な要素であり、しばしば大きな損得に繋がります。
3. 模様の接点: 自分の勢力圏（模様）を広げる上で重要なポイント。ここを確保することで、将来的に大きな陣地を築くことができるようになります。

なぜ急場が重要なのか？

囲碁において「急場」が重要視されるのは、以下の理由によります。

戦略的な優先度: 「急場」は、単なる大場よりも優先される場合があります。例えば、自分の石が危険に晒されている場合、大場よりも先にその石を救う必要があります。
局地戦の優位性: 「急場」の攻防は、局地的な戦いを制するための鍵となります。特に、石の競り合いにおいては、少しの判断ミスが大きな損失を招くことがあります。
* 将来的な展開への影響: 「急場」を制することで、将来的な盤面の展開を有利に進めることができます。例えば、模様の接点を確保することで、より大きな陣地を築くことが可能になります。

格言

「石数が多く生きていないところが大きい」という格言は、「急場」の重要性を端的に表しています。これは、たとえ多くの石が存在していても、それらが十分に生きている状態でない場合は、その石を救うことが最優先であることを示唆しています。この格言は、囲碁の戦略において、目先の利益にとらわれず、全体的なバランスを考慮することの重要性を教えてくれます。

参考図書

石田芳夫著『目で解く大場と急場』（誠文堂新光社、1989年）は、囲碁における大場と急場の考え方を深く理解するための参考になります。この書籍では、具体的な局面を通して、大場と急場の違いや、それぞれの打ち方のポイントを解説しています。より深く囲碁を学びたい方にとって、非常に有益な一冊と言えるでしょう。

まとめ

「急場」という言葉は、日常では差し迫った状況を指しますが、囲碁においては、戦略的な重要ポイントを意味します。特に序盤から中盤にかけて、石の根拠、競り合い、模様の接点などが重要になります。囲碁を学ぶ上で、「急場」の概念を理解することは、上達への重要な鍵となるでしょう。

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