恋するニワトリ

「恋するニワトリ」は、シンガーソングライター谷山浩子氏によって生み出された楽曲で、1985年2月から3月にかけてNHKの番組『みんなのうた』で放送されました。この楽曲は、放送のために特別に制作されたものです。

楽曲内容

この歌のテーマは、一羽のニワトリが風見鶏に寄せる切ない恋心です。金属でできた風見鶏は、どんなに思いを寄せてもニワトリに応えることはありません。このような叶わぬ恋の様子が、谷山浩子氏ならではの独特な言葉遊びやユーモラスな表現を交えながら歌い上げられています。ニワトリの純粋でひたむきな感情と、対象である風見鶏の無機質さとの対比が印象的です。

映像

『みんなのうた』での放送時には、楽曲の世界観に合わせたアニメーション映像が使用されました。この映像は若井丈児氏によって手がけられ、歌詞に登場するニワトリが可愛らしく擬人化されて描かれています。ニワトリたちの動きや表情が、楽曲の持つユーモアや切なさを視覚的に表現し、多くの視聴者の心に残りました。

教育における活用

この楽曲は、小学校の音楽教育の現場でも利用されることがあります。特に、歌詞の中に登場するニワトリの鳴き声を模した部分（例えば「コッ、コッコッ、コケッコー」など）は、児童たちが声楽的な発声、中でも頭声（いわゆるファルセットやヘッドボイスに近い、高い声域での発声）を体験的に学ぶのに適しているとされています。遊び感覚で楽しみながら発声練習に取り組める点が評価されています。

近年の評価

番組での初放送から長い年月が経っていますが、「恋するニワトリ」は現在でも多くの人々に愛されています。その人気を示すエピソードとして、2021年11月にインターネットメディア「ねとらぼ調査隊」が行った「『みんなのうた』の1980年代前半に放送されていた歌で一番好きなのは？」というアンケート調査では、多数の競合曲を抑えて1位に選ばれました。これは、この楽曲が時代を超えて親しまれている証と言えるでしょう。

収録情報

「恋するニワトリ」の音源は、谷山浩子氏のオリジナルアルバムやベストアルバム、そして『みんなのうた』関連のコンピレーション盤など、様々なCDやDVDに収録されています。

オリジナルに近いアレンジ（岡崎倫典氏によるアレンジ）の音源は、1988年発売のアルバム『しっぽのきもち』に収められています。一方、放送と同じ1985年に発売されたアルバム『空飛ぶ日曜日』には、石井AQ氏と谷山浩子氏自身による異なるアレンジのバージョンが収録されています。どちらのアレンジもそれぞれに魅力があり、聴き比べを楽しむこともできます。

また、前述のアニメーション映像は、2011年に発売されたDVD「NHK みんなのうた 第9集」に収録されており、映像と共に楽曲の世界観を再び体験することができます。

さらに、この楽曲はその人気の高さから、多数のアーティストによってカバーされており、様々なコンピレーションアルバムにも繰り返し収録されています。例えば、以下のようなアルバムに収録されています（一部）：

『NHKみんなのうた大全集 恋するニワトリ～おふろのうた』（1985年）
『NHKみんなのうた スシ食いねェ!～ポケットの中で』（1986年）
『『NHKみんなのうた』ベストヒット25 山口さんちのツトムくん～おふろのうた』（1988年、忍足敦子によるカバー）
『ほんのひとときママの時間 ママの結婚』（2006年、増田直美によるカバー）
『家族時間～NHKみんなのうたカバー集～』（2008年、タテタカコによるカバー）
『NHKみんなのうた ベスト40おやこでラララ♪』（2010年）
『RADIO ONSEN EUTOPIA』（2013年、やくしまるえつこによるカバー）
『HIROKO TANIYAMA 45th シングルコレクション』（2017年）

これらの収録媒体の多さからも、「恋するニワトリ」がいかに長く、多くの人々に愛され続けている楽曲であるかがうかがえます。

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