恋におちて (映画)

映画『恋におちて』

『恋におちて』（こいにおちて、Falling in Love）は1984年にアメリカで公開された恋愛映画です。監督はウール・グロスバード、主演にはロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープが名を連ねています。この映画は、ニューヨークを舞台に、家族を持つ男女の切なくも純粋な不倫の愛を描いています。特に、1945年のイギリス映画『逢びき』のアメリカ版とも評されており、不倫恋愛映画の傑作として多くの人々に愛されています。

ストーリーの流れ

物語は、クリスマスイブの混雑したグランド・セントラル駅から始まります。この時、建築技師のフランク・ラフティス（ロバート・デ・ニーロ）とグラフィックデザイナーのモリー・ギルモア（メリル・ストリープ）が偶然出会います。互いの手荷物がぶつかり、買ったばかりの本が入れ替わることから、彼らの運命が動き始めます。この出会いが、純粋な不倫の恋へと発展していく様子が描かれています。

クリスマスイブから3か月後、フランクは通勤電車で再びモリーを見かけ、直接声をかけることにします。彼は彼女に強く惹かれ、再会の期待で心を躍らせながら出勤します。モリーもまた、不意に出会ったフランクに魅力を感じており、彼との再会を心待ちにしています。

しかし、この関係は単なる友人以上のものに発展していきます。職場の友人エドと妻の冷え切った関係や、モリーの夫ブライアンとの生活が彼らの心の中にある葛藤を深めていきます。フランクは彼女と一緒に過ごす時間が増える中で、家族との関係が冷めていくのを意識し始めます。相手の家庭を持ちながらも、二人の間に湧く感情は次第に大きくなっていくのです。

家庭と愛の葛藤

フランクは、モリーと密会するために計画を立てます。しかし、彼らの絆が深まるにつれて、これは危険な選択であるという自覚が芽生えます。一度は肉体的な関係を持つことに踏み出しかけますが、モリーはその瞬間に涙し、共に過ごす喜びと同時に感じる悲しみが彼女を葛藤させます。二人はこの状況から逃げられないことを悟り、最終的には関係を続けることが家庭に多大な影響を与えることを懸念します。

やがてモリーは父親の病状が悪化したことを知り、フランクに助けを求めますが、自身の不倫に気付き、二人の関係がどれほど危険であるかに思い至ります。モリーはフランクの愛を知りながらも、自らが家庭を持つ者であることに心を痛める時間が続きます。彼女の心にはフランクへの想いと家庭への責任がせめぎ合い、その中で悩み苦しむ様子が描かれます。

物語の結末

物語は、再びクリスマスイブを迎えます。ニューヨークに戻ったフランクは、リゾーリ書店で偶然モリーと再会します。二人は過去の出来事を思い返しながらも、現実に目を向け、互いの生活に戻ることを選びます。結局、フランクとモリーはそれぞれの家庭を守るため、愛し合う気持ちを胸に秘めたまま、別れを選ぶのです。

『恋におちて』は、家庭を持つ者同士の複雑な愛情と、そこから生まれる葛藤を通じて、観る者に人間の持つ感情の奥深さを問いかける作品です。登場人物たちの選択は、愛と家庭の間で揺れ動く心情をリアルに描いており、観客に強い印象を残します。

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