恋にしびれて

「恋にしびれて」（原題：All Shook Up）は、エルヴィス・プレスリーが1957年にリリースしたシングルで、彼のキャリアにおいて重要な楽曲の一つです。B面には「心のうずく時（That's When Your Heartaches Begin）」が収録されています。

この曲は、アメリカの音楽チャート『ビルボード』誌で1957年4月13日から8週連続で1位を獲得するという圧倒的な成功を収めました。さらに、同誌の1957年度ナンバー・ワン・シングルにも輝き、その年の音楽シーンを代表する曲となりました。また、プレスリーにとって初の英国ナンバーワン・シングルとなり、国際的な人気を確立する上で重要な役割を果たしました。

2004年には、音楽雑誌『ローリング・ストーン』が選出した「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」において、352位にランクインし、時代を超えて愛される名曲としての地位を確立しました。

音楽的な特徴としては、ギター・スラップが本格的に取り入れられている点が挙げられます。この斬新な演奏スタイルは、当時の音楽シーンに大きな影響を与え、後のロックンロールのスタイルを形成する上で重要な要素となりました。

「恋にしびれて」は、多くのアーティストによってカバーされており、その多様な解釈がこの曲の魅力をさらに深めています。以下に主なカバーバージョンを紹介します。

ブライアン・ハイランド - 1962年のアルバム『Let Me Belong to You』に収録。
ピーター&ゴードン - 1965年のアルバム『I Go to Pieces』に収録。
ジェフ・ベック・グループ - 1969年のアルバム『ベック・オラ』に収録。
アルバート・キング - 1970年のアルバム『Blues for Elvis – King Does the King's Things』に収録。
スージー・クアトロ - 1973年のデビュー・アルバム『サディスティック・ロックの女王』に収録。
ライ・クーダー - 1987年のアルバム『ゲット・リズム』に収録。翌年公開の映画『カクテル』で使用されました。
ビリー・ジョエル - 1992年公開の映画『ハネムーン・イン・ベガス』のサウンドトラックに収録。
ポール・マッカートニー - 1999年のカバー・アルバム『ラン・デヴィル・ラン』に収録。
クリフ・リチャード - 2001年のアルバム『Wanted』に収録。
大滝詠一 - 2016年のコンピレーション・アルバム『DEBUT AGAIN』（初回生産限定版）に収録。「陽気に行こうぜ（Rip It Up）」とのメドレーで歌われています。

これらのカバーバージョンは、それぞれのアーティストの個性を反映しており、原曲とは異なる魅力を放っています。特に、ライ・クーダーのバージョンは、映画『カクテル』で使用されたことで、新たなファン層を獲得しました。また、ポール・マッカートニーや大滝詠一といった大物アーティストによるカバーは、この曲が時代を超えて愛され続けている証と言えるでしょう。

「恋にしびれて」は、エルヴィス・プレスリーの代表曲の一つとしてだけでなく、ロックンロールの歴史においても重要な位置を占める曲です。そのキャッチーなメロディと、ギター・スラップを駆使した斬新な演奏スタイルは、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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