恋のマジック・アイ

ザ・フー「恋のマジック・アイ」（I Can See for Miles）

ザ・フーの楽曲「恋のマジック・アイ」は、1967年にシングルとしてリリースされました。作詞・作曲はピート・タウンゼントが手掛けています。

制作の背景

この楽曲は、ザ・フーが初めて行った本格的なアメリカツアーの合間を縫って制作されました。1967年5月28日と29日にロンドンのCBSスタジオで最初の録音が行われましたが、同年8月にはニューヨークのスタジオでボーカルのみが差し替えられました。最終的なマスタリングは、同年9月10日にロサンゼルスで行われ、完成に至りました。

ギターだけでなくドラムスにもオーバーダブを重ねるという手の込んだ構成のため、ライブでの再現が非常に難しい曲として知られています。そのため、リリース当時はコンサートでほとんど演奏されることはありませんでした。しかし、1989年のリユニオン・ツアーでは、多数のサポートメンバーを起用してセットリストに加えられ、当時の演奏はライブ・アルバム『ジョイン・トゥゲザー』（1990年）に収録されています。

リリースと評価

コンサートでの演奏はほとんどありませんでしたが、数多くの音楽番組で披露されたことが奏功し、全米チャートで9位にまで上昇しました。これは、ザ・フーにとってアメリカでの最大のシングルヒットとなりました。しかし、本国イギリスでは、前作の「リリーのおもかげ」を下回る10位という結果に終わっています。ピート・タウンゼントは、「この曲は俺にとって最高の出来だったのに売れなかった。イギリスのバイヤー達に唾をかけてやったよ」と、その悔しさを語っています。この楽曲は、1967年12月にリリースされた3rdアルバム『セル・アウト』にも収録されています。

ポール・マッカートニーへの影響

ポール・マッカートニーは、タウンゼントがこの曲について語ったインタビュー記事に触発され、「ヘルター・スケルター」（『ホワイト・アルバム』収録）を作ったとされています。しかし、マッカートニーは、タウンゼントがザ・フーのどの曲について語っていたのか、今も知らないそうです。

カバーバージョン

「恋のマジック・アイ」は、様々なアーティストによってカバーされています。

ティナ・ターナー - アルバム『Acid Queen』（1975年）に収録
スティクス - カバー・アルバム『Big Bang Theory』（2005年）に収録
* ヴァニラ・ファッジ - カバー・アルバム『Spirit of '67』（2015年）に収録

「恋のマジック・アイ」は、ザ・フーの代表曲の一つとして、今もなお多くの音楽ファンに愛され続けています。

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