恋はせつなく

「恋はせつなく」について

1968年7月5日にリリースされた橋幸夫のシングル「恋はせつなく」は、彼の99枚目のシングルとして発表されました。この曲は、レコード大賞受賞曲「霧氷」の作詞を手掛けた宮川哲夫と、作曲家の利根一郎がタッグを組んで制作したもので、彼らにとっては5作目のコラボレーションとなります。編曲は、橋幸夫の音楽活動において何度も共演している寺岡真三が担当しています。

宮川と利根は、1954年にビクターに入社した宮川がプロデビューする以前から楽曲制作を行っていましたが、橋幸夫への楽曲提供は1966年1月に発表された「雨の中の二人」が最初でした。この曲は大ヒットを記録し、橋の恩師である佐伯と吉田とのコンビに替わる存在として注目されることになりました。その後、夏には「汐風の中の二人」をヒットさせ、秋に発売された「霧氷」でレコード大賞を受賞し、作家としての評価を確立しました。

受賞後も宮川と利根は橋に「夜は恋する」など多くのヒット曲を提供し続けました。「恋はせつなく」について橋は、「利根先生ならではのメロディでいい曲」としながらも、「タイトルが少し弱かった」と振り返っています。この時期、宮川は体調面での不安を抱えており、入退院を繰り返していました。実際、1974年に宮川が亡くなるまで、この楽曲が彼にとっての最後のヒット賞受賞曲となり、また、宮川と利根の橋への最後の楽曲提供でもありました。

「恋はせつなく」のB面には「夕陽に消えた恋」が収録されています。この曲も作詞が宮川、作曲が利根と、A面同様のクリエイターによって制作されています。編曲は異なり、一ノ瀬藤孝が担当しています。

この楽曲はCDでのベストアルバムや一般的なCDには収録されていませんが、1993年に発売されたCD-BOX『橋幸夫大全集』のDISC-6に収められています。これにより、ファンはこの貴重な楽曲を聴くことができるようになっています。「恋はせつなく」は、橋幸夫のキャリアの中で特別な位置を占める作品として、音楽ファンの間で愛され続けています。

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