雨の中の二人

「雨の中の二人」は、1966年1月15日にビクターレコードから発売された橋幸夫の75枚目のシングルです。この曲は、田村正和が主演した同名の松竹・ビクター提携映画の主題歌としても知られています。

概要

橋幸夫の楽曲は、これまで恩師である佐伯孝夫が作詞、吉田正が作曲を手がけるものがほとんどでした。しかし、1964年頃から、吉田正自身が「雰囲気を変えてみよう」と提案し、他の作家の楽曲も制作されるようになりました。「雨の中の二人」は、作詞を宮川哲夫、作曲を利根一郎が担当しており、橋幸夫にとって新たな音楽的挑戦となりました。

作詞の宮川哲夫とは「さすらい者」や「未練」、「ひとりの旅路」で共演歴がありましたが、作曲家の利根一郎とは本作が初共演となりました。橋は利根を「吉田先生とは、また違う個性のメロディメーカー」と評しています。また、編曲を担当した一ノ瀬義孝についても、「クラシック畑の方で、バイオリン主体の編成が特にうまく、イントロの雨の感じを出したバイオリンには感動した」と述べています。

1966年、橋は宮川、利根、一ノ瀬と「汐風の中の二人」（6月）、「霧氷」（10月）と合わせて3枚のシングルをリリースし、いずれもヒットしました。さらに、吉永小百合とのデュエット曲「夢みる港」（4月）や「恋と涙の太陽（アメリアッチ）」（6月）もヒットし、その年の「霧氷」で第8回日本レコード大賞を受賞しました。橋幸夫は、2度目のレコード大賞受賞者として、その実力を示しました。

レコード大賞は「霧氷」に決まりましたが、橋自身は宮川、利根、一ノ瀬との最初の楽曲である「雨の中の二人」への思い入れも強く、本作を「幻のレコード大賞」と語っています。また、ビクターも当初、「吉田先生に遠慮」したのか、あまり宣伝しなかったとされています。

c/wの「ネェ、君、君」は白鳥朝詠作詞、利根一郎作曲によるもので、「雨の中の二人」とは対照的な、利根のリズム歌謡となっています。

収録曲

1. 雨の中の二人
作詞：宮川哲夫、作曲：利根一郎、編曲：一ノ瀬義孝
2. ネェ、君、君
作詞：白鳥朝詠、作曲：利根一郎、編曲：寺岡真三

収録アルバム

この曲は、以下のアルバムに収録されています。
『橋幸夫　ザ・ベスト』（2012年7月25日）
『橋幸夫ベスト～盆ダンス～』（2005年11月23日）
『橋幸夫全曲集 』（2003年11月26日）
『橋幸夫が選んだ橋幸夫ベスト40曲』（2000年10月4日）
『橋幸夫 全曲集』（1999年10月21日）
『＜TWIN BEST＞』（1998年11月6日）
『＜BEST ONE＞』（1996年10月23日）

.... その他多数

映画

「雨の中の二人」を題材とした映画が、1966年4月16日に松竹系で公開されました。この映画は、橋幸夫の楽曲を題材にした作品としては珍しく、橋自身は主演ではなく、本人役として出演しています。主演は田村正和が務めました。

スタッフ

製作 - 沢村国男
脚本 - 高橋二三、桜井秀雄、熊谷勲
監督 - 桜井秀雄
撮影 - 荒野諒一
美術 - 森田郷平
音楽 - 小川寛興
録音 - 堀義臣
照明 - 飯島博
編集 - 杉原よ志
スチール - 赤井博且

出演者

春日隆二 - 田村正和
竹下ユキ - 中村晃子
竹下キヨ - 葵京子
魚源源造 - 田武謙三
魚源ふみ - 日高澄子
魚源善吉 - 田中晋二
魚源ひろし - 藤岡弘
魚源一平 - 高畑喜三
魚源喜八 - 曽我廼家一二三
魚源よしお - 加藤勉
魚源シゲ子 - 新藤恵美
魚源みっちゃん - 佐藤チカ
魚源はなえ - 林千鶴
岡部三郎 - 佐藤英夫
警官 - 三代目江戸家猫八
チンピラ - 小瀬朗、大泉滉
橋幸夫 - 橋幸夫

同時上映

『男の魂』
脚本：星川清司 / 監督：梅津明治郎 / 主演：竹脇無我
* 「男シリーズ」の第1作目。

エピソード

2012年5月15日にNHK総合テレビで放送された『NHK歌謡コンサート』の企画「ああ! 憧れの銀幕歌謡」で、この曲が橋幸夫によって歌われた後、映画のスチール写真が紹介されました。

その他

c/wの「ネェ、君、君」は『黄金のニューリズム 』（2005年9月22日＜COLEZO!＞で復刻）に収録されています。

特撮ドラマ『有言実行三姉妹シュシュトリアン』（フジテレビ）第23話「アジサイ仮面の心」では、この回の敵アジサイ仮面に対するシュシュトリアン口上が、本曲の歌い出しを引用して使用されました。

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