恋をしようよ (河村隆一の曲)

河村隆一のソロアーティストとしてのキャリアにおいて重要な位置を占める楽曲「恋をしようよ」は、2001年11月21日、gai RECORDSより9枚目のシングルとして発売されました。作詞・作曲をЯKが担当し、編曲は土方隆行が手がけたこの楽曲は、河村隆一自身の音楽性における転換期を示す作品と言えるでしょう。

このシングルには、表題曲「恋をしようよ」以外にも、吉田美智子が作曲、山口一久が編曲を担当した「深月に恋文したためて」、そして「恋をしようよ（ac g version）」と「恋をしようよ（for you）」という計4曲が収録されています。

「恋をしようよ」は、河村隆一が自身の初司会番組であったフジテレビ系「愛の勝ち組×恋の負け組」のエンディングテーマとして使用されたことも特筆すべき点です。この番組起用は、河村隆一が音楽活動以外にも積極的に挑戦していく姿勢を示すものとなりました。

興味深いのは、この楽曲が2007年発売のベストアルバム『ever green anniversary edition』に収録されていないことです。「ジュリア」「君の前でピアノを弾こう」といった代表曲と共に収録されなかった理由については、公式な発表はありませんが、河村隆一自身のインタビューからそのヒントを読み取ることができます。

当時の雑誌『CAST Vol.24』掲載のインタビューで、河村隆一は「LUNA SEAと同じことをしていたのでは意味がない」と発言しています。これは、彼がLUNA SEAでの活動から得た経験を基盤としながらも、ソロ活動においては新たな表現方法や音楽性を模索していく意思を強く表明していると言えるでしょう。そして「恋をしようよ」はその意思の現れとして、従来の河村隆一のイメージを覆すような、革新的なミュージックビデオを制作するなど、積極的に新しい表現方法に挑戦した作品となりました。

さらに、「恋をしようよ」は、河村隆一がSay a Little Prayerに提供した楽曲『like or love』の歌詞とメロディーをセルフカバーした作品であることも明らかになっています。オリジナルとは異なるアレンジメントや解釈を加えることで、新たな魅力を生み出しています。

これらの事実は、「恋をしようよ」という楽曲が、単なるシングル曲という枠を超え、河村隆一というアーティストの音楽的な探求心、そして自己表現への強い意志を象徴する作品であることを示唆しています。その挑戦的な姿勢と、洗練された音楽性は、多くのリスナーに深い印象を残し、現在に至るまで彼の代表曲の一つとして語り継がれているのです。

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