恐怖のまわり道

恐怖のまわり道（きょうふのまわりみち）

『恐怖のまわり道』は、1945年にエドガー・G・ウルマーが監督したアメリカのフィルム・ノワールです。この映画は、心理スリラーとして高く評価されており、多くの映画愛好者の間で語り継がれています。特に、スティーヴン・ジェイ・シュナイダーの著書『死ぬまでに観たい映画1001本』にも取り上げられるなど、その名は広がっています。

あらすじ

物語の舞台は、ニューヨークのナイトクラブ。ピアニストのアル（トム・ニール）は、歌手のスー（クローディア・ドレイク）と深い関係にありますが、スーはさらなるキャリアを求めてロサンゼルスへ向かいます。アルは彼女を忘れられず、ヒッチハイクで西へ旅立つことを決意します。

アリゾナ州でアルは、ハスケル（エドマンド・マクドナルド）という男のオープンカーに乗せてもらいます。しかし、この男には不穏な事情があり、腕には女性の爪痕が残っています。やがてハスケルは心臓発作で命を落とし、アルは彼の死を隠してハスケルになりすまして旅を続けることに。ここから物語は思わぬ展開を見せます。

バス停でアルは、ヴェラ（アン・サヴェージ）という女性と出会います。ヴェラはハスケルを知っており、彼の行方を問い詰めます。アルは自らが彼になりすましたことを打ち明け、2人は共に行動することに。彼らはハスケル夫妻として共同生活を始めます。しかし、ヴェラの心にはアルを操ろうとする意図が潜んでおり、彼女はアルを脅迫して遺産を手に入れようと狙っていました。

アパートメントでの二人の生活は不穏さを増し、ヴェラはアルにハスケルの父親の遺産を狙うように提案しますが、知らないことばかりのアルは拒絶します。すると、ヴェラは隙をついて電話で警察に連絡しようと企みます。この瞬間、アルは慌てて飛び込んで行き、ヴェラを止めようとしますが、結果的に彼女を窒息させてしまいます。こうしてアルは再び孤独な旅路に戻ることになります。

キャストと制作

本作のキャストには、アル役のトム・ニール、ヴェラ役のアン・サヴェージ、スー役のクローディア・ドレイク、ハスケル役のエドマンド・マクドナルドらが名を連ねています。撮影はわずか6日間で終了し、制作費は約23,000ドルから30,000ドルといわれています。

評価

『恐怖のまわり道』は、Rotten Tomatoesでの評価が高く、レヴュー数は19件、平均点は8.2と支持率は100%を誇ります。『Chicago Tribune』の映画批評家、マイケル・ウィルミントンは本作を「これまでで最も容赦なく強烈な心理スリラーの1本」と評しています。これにより、映画史においてその重要な位置を確立しました。

結論

『恐怖のまわり道』は、サスペンスフルながらも登場人物の心理に迫った作品であり、観る者に強烈な印象を残します。フィルム・ノワールの真髄を体感できるこの作品は、映画愛好家にとって必見の名作です。

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