恥ずかしすぎて

南野陽子デビューシングル「恥ずかしすぎて」：18歳の誕生日と、歌えなかった2日間

1985年6月23日、南野陽子さんの18歳の誕生日という記念すべき日に、彼女の歌手デビューシングル「恥ずかしすぎて」がリリースされました。この曲は、南野さんのアイドル人生、そして音楽史において重要な位置を占める一曲と言えるでしょう。なぜなら、このデビューシングルには、彼女自身の緊張と努力、そして周囲の支えが凝縮されているからです。

当時、「可憐だね陽子」「純だね陽子」というキャッチフレーズでデビューした南野さんでしたが、実は人前で歌う経験が全くありませんでした。そのため、レコーディングスタジオでは想像をはるかに超える緊張に襲われ、声が出ない状態が2日間も続いたのです。デビュー曲のレコーディングが思うように進まず、スタジオのレンタル期限も迫るという、まさに危機的な状況でした。

しかし、南野さんはスタッフの励ましと協力の下、少しずつ克服していきます。最初はスタッフと一緒に歌い始め、徐々にスタッフの数を減らし、最終的には一人で歌うことができるようになりました。この地道な努力と、周りの支えがあってこそ、この曲が完成したのです。

実は当初、デビュー曲は「天使のハンカチーフ」という別の曲に決まっていました。しかし、レコーディングでの南野さんの苦闘を目の当たりにした作詞家の康珍化氏は、この状況にぴったりの「恥ずかしすぎて」という曲に変更したのです。この決断は、南野さんの才能と個性を見抜いた、康珍化氏の慧眼と言えるでしょう。

シングルジャケットとレーベル面には、「恥ずかしすぎて」が「TOO SHY TO SAY」、「さよなら、夏のリセ」が「GOOD-BYE MY SCHOOL DAYS」という英語タイトルが付けられています。この英語タイトルも、曲の雰囲気と、南野さんのフレッシュなイメージをより一層際立たせています。

「恥ずかしすぎて」は、発売から4年後の1989年8月21日にCDシングルとして再発売され、オリコンシングルチャートにランクインを果たしました。このことは、この曲が時代を超えて愛され続けていることを証明していると言えるでしょう。

両A面シングルのもう一曲「さよなら、夏のリセ」も、作詞は康珍化氏、作曲は都倉俊一氏、編曲は大村雅朗氏と、「恥ずかしすぎて」と同じ豪華な制作陣によって生み出されました。この曲は、青春時代の甘酸っぱく切ない感情を表現した、夏らしい爽やかな一曲です。

「恥ずかしすぎて」は、南野陽子さんの純粋な歌声と、デビュー当時の緊張感、そしてスタッフの温かいサポートが詰まった、まさに彼女を象徴するデビューシングルとなりました。この曲は、彼女のアイドルとしてのキャリアの始まりであり、同時に、多くのリスナーの青春時代を彩る大切な一曲として記憶されています。そして、このシングルに込められた努力と感動は、今もなお多くの人々の心に響き渡っていると言えるでしょう。

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