恩塚亨

恩塚 亨（おんづか とおる）は、1979年6月5日生まれ、大分県出身の日本のバスケットボール指導者です。東京医療保健大学の准教授であり、同大学女子バスケットボール部のヘッドコーチを務めています。また、かつてはバスケットボール女子日本代表のヘッドコーチとして、日本の女子バスケットボール界を牽引しました。

指導者への道

幼少期からバスケットボールに親しんだ恩塚氏は、選手としてではなく、指導者としてバスケットボールに関わる道を志しました。その探求のため、バスケットボールが盛んな筑波大学に進学し、バスケットボール部に入部。指導者としての基盤を築き始めました。

大学教員・HCとしてのキャリア

大学で教員免許を取得した後、2002年から約7年間、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校の教員として勤務。同校の女子バスケットボール部コーチを務め、指導者としての実戦経験を積みました。

2006年には、新設された東京医療保健大学において、女子バスケットボール部の立ち上げを企画段階から主導。大学教員となるため、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で専門的な学びを深めました。同大学のヘッドコーチとしてチームを強化し、創部からわずか11年目の2017年には、全日本大学バスケットボール選手権大会（インカレ）で初の優勝を果たし、チームを大学日本一へと導きました。翌2018年にもインカレを制し、2連覇の偉業を成し遂げ、大学バスケットボール界にその名を刻みました。2022年4月からは女子日本代表ヘッドコーチに専念するため同大学HCを退任しましたが、2024年10月には再びその指揮を執ることが発表されました。

日本代表での軌跡

恩塚氏の日本代表でのキャリアは、大学でのコーチングと並行して始まりました。2006年には、U21女子日本代表のビデオコーディネーターとして、自費で海外遠征に帯同し、試合映像の分析や編集を行うなど、現在の指導スタイルにも繋がるデータ分析の重要性を早くから認識していました。2007年からは正式に女子日本代表のアナリストを務め、2012年までその役割を担いました。

その後、2015年にはユニバーシアード女子日本代表のアシスタントコーチを経験。2016年のリオデジャネイロオリンピックでは再びアナリストとして女子日本代表に帯同し、チームをサポートしました。2017年から東京オリンピックが開催された2021年まで、トム・ホーバス氏率いる女子日本代表においてアシスタントコーチを務め、銀メダル獲得に貢献。世界トップレベルのチームにおける指導経験を積みました。

女子日本代表ヘッドコーチとして

2021年9月、トム・ホーバス氏が男子日本代表ヘッドコーチに転任した後を受け、バスケットボール女子日本代表のヘッドコーチに就任しました。就任直後に開催された2021年FIBA女子アジアカップでは、チームを優勝に導き、その手腕を発揮しました。HCとして臨んだ2024年のパリオリンピックでは、予選リーグで3戦全敗となり惜しくも敗退。この大会をもって任期満了に伴い退任しました。

その他の活動

指導者としての活動に加え、恩塚氏はメディアにも登場しており、テレビ番組『ミライ☆モンスター』や『炎の体育会TV』などに出演経験があります。また、バスケットボールの普及・育成にも熱心で、「Wizards Basketball Camp」や「NEXT LEVEL CLINIC」といったクリニックで指導を行っています。自身の指導理論や戦術に関する著作物も複数あり、書籍『バスケットボール勝つためのフォーメーション』（共著）や『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』（著書）、さらに指導ノウハウを収録したDVDなどを発表しています。

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