恵利寺

恵利寺（えりじ）

恵利寺は、岐阜県関市武芸川町跡部に位置する臨済宗妙心寺派の寺院で、尾崎山を山号としています。本尊は十一面観音菩薩であり、美濃三十三観音霊場の第六番札所として知られています。

歴史

恵利寺の起源は、聖武天皇が病に倒れた際に、行基がこの地を訪れ、大跡部皇子（武烈天皇の皇子と伝えられるが、実際には武烈天皇に子女はいなかったとされています）の旧跡で自ら彫った十一面観音菩薩と経石を祀り、天皇の平癒を祈願したことに遡ります。その祈りが成就し、病が回復した聖武天皇は、仏恩に報いるために観自在王院の勅額を寺に与え、伽藍を寄進しました。これにより、恵利寺は創建されたと伝えられています。

平安時代には、多くの子院や末寺を抱え、寺勢は非常に隆盛しました。この時代には、覚鑁によって不動明王が寺に納められました。しかし、その後、幾多の戦乱に見舞われ、寺は次第に衰退していきます。特に、永禄7年（1564年）には、織田信長の美濃侵攻の際に兵火によって焼失し、建物は灰燼に帰しました。しかし、幸いにも本尊である十一面観音菩薩をはじめ、多くの寺宝は焼失を免れ、現在に伝えられています。

江戸時代に入り、長良崇福寺の八世である物堂宗接によって恵利寺は中興され、以来、臨済宗妙心寺派の寺院となりました。また、妙心寺派の第十代管長であり、妙心寺五百六十四世の住持であった猷禅玄達が、この寺で出家したことは特筆に値します。この出来事を記念する碑が、現在も境内に建てられています。

境内

恵利寺の境内には、弁天池と弁天堂、そして白山社があります。これらの建造物も、恵利寺の歴史を物語る上で重要な要素となっています。

恵利寺は、その歴史の中で栄枯盛衰を経験しましたが、現在も地域の人々に大切にされています。美しい自然に囲まれた境内は、訪れる人々に安らぎを与え、歴史の重みを感じさせてくれます。美濃三十三観音霊場巡礼の際には、ぜひ訪れていただきたい場所の一つです。

参考文献

美濃西国三十三観音霊場会編『美濃西国三十三所観音巡礼』p.37-p.39 朱鷺書房 1999年

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