覚鑁

覚鑁（かくばん）

覚鑁（1095年 - 1144年）は、平安時代後期の真言宗の僧で、真言宗中興の祖、新義[[真言宗]]の開祖として知られています。諡号は興教大師。肥前国（現在の佐賀県）に生まれ、幼名を弥千歳といいました。

生涯

覚鑁は、幼くして出家を志し、13歳で仁和寺に入り、その後高野山で学びました。35歳で真言宗の伝法を全て受け継ぎ、空海以来の逸材と称されました。高野山内に伝法院を建立し、鳥羽上皇の帰依を得て、北向山不動院の開山にもなりました。

しかし、当時の高野山は僧侶の堕落が目立ち、覚鑁は宗派の再建を決意します。大伝法院と密厳院を建立し、高野山の主導権を握ろうとしましたが、守旧派の僧侶から激しい反発を受け、密厳院を焼き討ちされるという事件（錐もみの乱）に遭遇しました。

この時、本尊の不動[[明王]]が二体現れ、覚鑁を守ったという伝説が残されています。

高野山を追われた覚鑁は、根来寺を拠点とし、新義[[真言宗]]の基礎を築きました。1144年に48歳で入滅し、根来寺奥之院に埋葬されました。

思想

覚鑁は、真言密教における浄土思想を理論化し、「密厳浄土」を提唱しました。これは、阿弥陀如来を大日[[如来]]の化身と捉え、密教の教えを通して浄土に往生できるという考え方です。また、空思想を説いた『月輪観』を編纂し、五輪塔を広めるきっかけとなった『五輪九字明秘密釈』を著しました。

後世の評価

覚鑁は、真言宗において、空海に次ぐ仏教哲学者として高く評価されています。彼の「密厳浄土」思想は、鎌倉仏教にも大きな影響を与えたと言われています。現代でも新義[[真言宗]]の各派では、空海とともに覚鑁の名を唱え、その功績を称えています。

覚鑁に関連する主なキーワード

密厳浄土: 覚鑁が提唱した、真言密教における浄土思想。
新義[[真言宗]]: 覚鑁の教えを基礎として発展した真言宗の一派。
根来寺: 覚鑁が拠点とした寺院で、新義[[真言宗]]の中心地。
錐もみの乱: 覚鑁が密厳院を焼き討ちされた事件。
月輪観: 覚鑁が編纂した、空思想を表した書。
五輪九字明秘密釈: 覚鑁が著した、五輪塔の普及に貢献した書。


覚鑁は、真言宗の発展に大きく貢献した僧であり、その思想と活動は、現代の仏教界にも大きな影響を与えています。

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