恵比須島 (小樽市)

恵比須島（恵比須岩）

恵比須島、または恵比須岩は、北海道小樽市張碓（はりうす）地区の海岸に位置する小島です。その美しい景観から、小樽八区八景の一つに数えられています。

概要

かつては、小樽市の鳥であるアオバトが多数飛来することで知られていました。また、以前は弁天様を祀る祠が建てられていましたが、現在は消失しています。

かつては、張碓地区から島へ続く通路がありましたが、JR函館本線張碓駅の廃止や張碓海水浴場の閉鎖に伴い、一般の立ち入りは制限されています。現在、島へ渡るには漁業関係者の私有地を通る必要があります。

島名の由来

恵比須島という名前は、江戸時代にこの場所で漁場を請け負っていた恵比須屋（岡田半兵衛）の番屋が島の目の前にあったことに由来します。地元住民は、この船着き場を「岡田の澗」と呼んでいました。現在も、漁師小屋が数軒残っています。

昔の漁師は、この島を単に「島」と呼んでいました。弁天の祠があった頃は、弁天島、あるいは張碓弁天島とも呼ばれていましたが、現在は祠が消失しています。

アイヌ語では、この島を「ワウシリ」（アオバトの島）と呼んでいました。天保12年に描かれた今井八九郎の地図には、「マウシシレエト」（アオバトの岬）という地名が記されています。また、松浦武四郎の『廻浦日記』には、「ワウレー」または「ワウシリエト」という地名が記録されています。島から約1km東にかつて存在した集落は「和右尻（ワウシリ）」と呼ばれていましたが、この地名は元々恵比須島を指していたと考えられています。『永田地名解』には、「ワオシレト（ワオ鳥ノ岬）」とあり、アオバトがこの島に巣を作ることから名付けられたと記されています。アオバトの鳴き声は「ワウ」「ワオ」と聞こえるため、アイヌ語ではアオバトを「ワウ」「ワオ」「ワウォウ」などと呼んでいました。

地理

アオバトの生息地

恵比須島は、アオバトの飛来地として知られています。昭和60年には、約200羽が生息していることが確認されています。

周辺の岩

ノコギリ岩: 恵比須島の西20mに位置する岩。
アオバト岩: ノコギリ岩のすぐ西にある平らな岩。アオバトがよく休憩していました。

周辺の遺構

義経隧道（張碓第五隧道）: 恵比須島の対岸西側に位置するトンネル。明治12年にジョセフ・クロフォードの指導のもとで開削されました。鉄道用として使用された後、人道用に戻されました。現存していますが、天井の一部が崩落しており、道は閉鎖されています。積雪で立ち往生したSL義経号をSLしずか号が救助したことから、義経隧道の愛称がつきました。現存する日本最古の鉄道隧道です。
張碓川橋橋脚: 上記の隧道と同時期に建設された橋の橋脚部分。橋自体は新しく架け替えられています。現存する北海道最古の鉄道橋脚です。

歴史

アイヌ時代には、「ワオシレエト」または「ワウシリ」と呼ばれ、アオバトの飛来地として知られていました。

江戸時代には、島の前面がヲタルナイ場所の漁場となり、請負人の名をとって恵比須島と呼ばれるようになりました。安政3年には弁天の祠が置かれたため、弁天島とも呼ばれましたが、文久元年に嵐で流出してしまいました。

昭和初期頃まで、島にはカエデの大木が生えており、アオバトの休憩場所となっていましたが、昭和22年の大火で焼失しました。

昭和後期には、コンクリートの護岸工事が行われ、島は陸続きになりました。

昭和末期まで、島の周辺は張碓海水浴場として賑わっていましたが、鉄道事故の危険性があるため閉鎖され、現在は漁師の私有地を通らなければ島へ行くことができなくなっています。

恵比須島の伝説

化石岩: ハルウスの海岸にある岩で、この岩に触れたものは石に変わると伝えられています。
張碓のアオバト: 反対ばかりしていた子供のアオバトが、死んだ親バトの頼みを聞いて川のそばに埋葬したところ、雨の季節になると親が流されないように鳴くという伝説。
ピリカメノコ: 若者と恋仲になったアイヌの美しい娘が、戦争に行った若者の帰りを待ち続け、入水自殺した。初夏になるとアオバトに化身して鳴くという伝説。
お小夜と清吉: お小夜という娘が祭りで出会った清吉と恋に落ちたが、清吉と別の娘との縁談が決まってしまい、お小夜は縁談のきっかけとなった張碓弁天を呪った。大嵐で張碓弁天の祠が流された後、清吉も病死。お小夜は呪いを悔い、入水自殺したという伝説。お小夜と清吉の地蔵堂は、朝里川河口の太平山神社にあります。

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