張碓駅

張碓駅（廃駅）

張碓駅は、かつて北海道小樽市張碓町に位置していた、北海道旅客鉄道（JR北海道）函館本線の駅でした。現在は廃止されており、その痕跡を留めるのみとなっています。

歴史

1880年（明治13年）の官営幌内鉄道開通時には存在せず、15年後の1895年（明治28年）に北海道炭礦鉄道によって新設されました。しかし、駅の場所は集落から離れた海岸沿いの崖下という、アクセスに不便な場所でした。

この場所に駅が設けられた理由は、集落の利便性向上というよりも、土砂の採集・発送や、トンネル事故時の避難場所としての利用が目的だったとされています。そのため、集落から駅へは線路沿いの人道を歩くしかなく、列車との接触事故が多発しました。住民からは駅の移転要望が何度も出されましたが、実現には至りませんでした。

1990年（平成2年）からは、駅前に広がる海水浴場の利用客を対象とした夏季限定の臨時駅として営業を行いましたが、1998年（平成10年）以降は夏季の開設も行われなくなり、2006年（平成18年）3月18日のダイヤ改正に合わせて、正式に廃駅となりました。

年表

1905年（明治38年）10月8日：北海道炭礦鉄道の駅として、銭函駅 - 朝里駅間に新設開業。
1906年（明治39年）10月1日：北海道炭礦鉄道の国有化に伴い、国有鉄道に移管。
1909年（明治42年）10月12日：国有鉄道線路名称制定に伴い、函館本線の駅となる。
1911年（明治44年）6月20日：函館本線のうち、当駅を含む朝里駅 - 銭函駅間が複線化。
1940年（昭和15年）：駅構内に道床用の砕石採集場を開設。
1945年（昭和20年）3月20日：集荷・配達の取り扱いを廃止。
1949年（昭和24年）6月1日：日本国有鉄道法施行に伴い、日本国有鉄道（国鉄）に継承。
1955年（昭和30年）11月：上りホーム上に「義経隧道碑」を建立。
1962年（昭和37年）1月15日：貨物取扱い廃止。
1967年（昭和42年）8月1日：専用線発着車扱貨物の取扱を再開。
1967年（昭和42年）10月：砕石採集場を廃止。
1968年（昭和43年）8月28日：函館本線のうち、当駅を含む小樽駅 - 滝川駅間が電化。
1969年（昭和44年）10月1日：貨物取扱い廃止。
1978年（昭和53年）10月2日：荷物扱い廃止。無人駅となる。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化に伴い、北海道旅客鉄道（JR北海道）に継承。
1990年（平成2年）9月1日：臨時駅となる。営業期間は7月1日 - 8月31日。
1998年（平成10年）：同年から夏季の開設も行われず、実質的に休止となる。
2006年（平成18年）3月18日：廃止。
* 2006年（平成18年）7月：駅舎とホームの解体工事を実施。「義経隧道碑」は存置。

駅名の由来

駅名は所在地名に由来します。アイヌ語の「ハルウㇱ（haru-us）」（食料・群生する）が語源で、この場合の「食料」は、オオウバユリやギョウジャニンニクなどの山菜を指します。

なお、駅が設置されていた場所は、かつて「チャラセナイ（charse-nay）」と呼ばれており、アイヌ語で「（崖を）ちゃらちゃらと滑り落ちる・川」という意味です。

駅構造

相対式ホーム2面2線を有する地上駅でした。跨線橋はなく、臨時駅時代には駅舎、便所、油燈室小屋、物品庫は閉鎖されていました。国鉄時代には中線がありましたが、後に撤去されています。ホームは嵩上げされておらず、幅も狭いため、通過列車には注意が必要でした。

駅周辺

駅は石狩湾に面した場所に位置していました。周辺の海岸は海水浴場として賑わい、かつては札幌 - 張碓間を結ぶ海水浴客向けの臨時列車も運行されていました。

駅から南に200メートルの高台には国道5号が、さらに50メートル南には札樽自動車道が走っています。駅の裏手には、「張碓の滝」と呼ばれる落差50メートル級の滝があります。

隣の駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）

函館本線

朝里駅 - 張碓駅 - 銭函駅

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