悠遊旅倶楽部

悠遊旅倶楽部（ゆうゆうたびくらぶ）とは、かつて北海道旅客鉄道（JR北海道）によって運営されていた、シニア層を中心とした会員制のサービスです。主な目的は、会員に対してJR北海道線内の運賃や各種料金を割引することでした。このサービスは、他の関連組織の再編に伴い、2017年度末をもって惜しまれつつ廃止され、現在ではJR東日本などが展開する「大人の休日倶楽部」へと引き継がれています。

この倶楽部の会員になると、JR北海道線内での運賃や特急・急行料金などが割引されるほか、北海道内の様々な施設で優待が受けられました。具体的には、提携する道内約39箇所の旅館やホテルに会員特別料金で宿泊できたり、駅レンタカーやユースホステルを割引料金で利用できたりといった特典がありました。これらの情報は、会員向けの会報誌「ジェイアール ライズ」で案内されていました。

また、JR北海道管内で既に「ジパング倶楽部」に入会している、または同時に入会する方は、自動的に悠遊旅倶楽部の会員となることができました。この場合、ジパング倶楽部の年会費のみで悠遊旅倶楽部の年会費は不要となるため、大変お得な制度でした。

悠遊旅倶楽部の利用条件は、その歴史の中で一度大きな変更がありました。2010年4月1日購入分を境に、割引率や対象となる区間・列車などが以下のように変わっています。

2010年3月31日購入分まで適用された主な条件
JR北海道線の特急・急行列車を101km以上（片道、往復、連続）利用する際の運賃が45％割引。
旭川～札幌～東室蘭間に限り、特急・急行料金も45％割引。
乗車券と特急・急行券は同時に購入する必要がありました。
GW、お盆、年末年始などの多客期は利用できませんでした（後に変動期間制に変更）。
JR北海道線の区間にJR北海道バスや駅レンタカーを挟む場合、前後の鉄道区間は連続しているとみなされました。

2010年4月1日購入分から適用された主な条件
JR北海道線（境界駅である中小国駅まで/から）を201km以上（片道、往復、連続）利用する場合の運賃が30％割引。普通・快速列車のみの利用でも適用されました。
JR北海道線内で完結する特急料金、指定席料金、グリーン料金も30％割引。ただし、急行料金や普通車個室は割引対象外でした。
JR他社線に直通する列車（寝台特急など）の寝台料金は割引対象外でした。一部の直通列車（白鳥、スーパー白鳥など）では運賃のみが割引となりました。
利用制限期間はなくなり、通年利用可能となりました。
JR北海道線の区間にJR北海道バスや駅レンタカーを挟む場合、前後の鉄道区間は連続とみなされなくなったため注意が必要でした。

共通する利用条件
割引乗車券類の購入、変更、払戻しは、北海道内のJR主要駅にある「みどりの窓口」や「旅行センター（ツインクルプラザ）」でのみ取り扱われました。
他の割引制度との併用はできませんでした。
* 割引乗車券類は、列車に乗車する前に有効な会員資格期間内に購入する必要があり、車内や無人駅などでは購入できませんでした。

会員となるための資格は、男性は満60歳以上、女性は満50歳以上で、日本国内に居住している方でした。会員資格は入会から1年間有効で、年会費は1,500円が必要でしたが、前述の通りジパング倶楽部会員は免除されました。入会申し込み時には顔写真（縦3cm×横2.4cm）が必要でした。

備考として、悠遊旅倶楽部の割引が適用された乗車券類には、「U割」という印字がされました。また、JR北海道には、悠遊旅倶楽部と類似した割引を提供する若年層向け会員組織「YOUNG GOGO CLUB」（13歳～25歳対象）や、回数券等の割引特典がある「Rail mate」といった会員組織も存在しましたが、これらも後に募集停止・廃止されています。悠遊旅倶楽部会員限定の企画乗車券「スーパー往復きっぷ」も設定区間限定で販売されていました。

悠遊旅倶楽部は、北海道内の鉄道旅行をよりお得に楽しむための制度として、多くのシニア層に利用されましたが、組織再編を経てその役割を終えました。

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