悪魔が夜来る

『悪魔が夜来る』（Les Visiteurs du Soir）は、1942年にマルセル・カルネが監督したフランスのファンタジー映画。1948年度のキネマ旬報ベスト・テンで7位にランクインしました。

ストーリー

舞台は15世紀のフランス。ユーグ男爵の城では、娘アンヌと騎士ルノーの婚約披露宴が盛大に開かれていました。各地から芸人たちが集められ、宴を盛り上げています。そんな中、悪魔のしもべであるジルとドミニクが悪魔に姿を変え、吟遊詩人に扮して会場に侵入します。

彼らの目的は、アンヌとルノーを引き離し、それぞれを手中に収めること。ドミニクはアンヌを、ジルはルノーを誘惑し、徐々にその策略を進めていきます。さらに、ドミニクはユーグ男爵に近づき、彼をも虜にしてしまいます。

後日、ルノーはドミニクと男爵が親密にしている様子を目撃し、嫉妬に駆られて決闘を申し込みます。しかし、悪魔の力添えにより男爵が勝利し、ルノーは命を落としてしまいます。

一方、アンヌを本気で愛してしまったジルは、悪魔の怒りを買い、牢獄で拷問を受ける日々を送ります。それでもアンヌへの思いを捨てきれないジルに対し、悪魔は「解放してやるから、私の言う通りにアンヌを口説け」と取引を持ちかけます。ジルの説得もむなしく、アンヌはそれを受け入れてしまいます。

その後、自由と引き換えにアンヌを忘れ去ってしまったジルは城を去ります。しかし、アンヌは彼と初めてキスを交わした場所へ行きたいと悪魔に願い出ます。悪魔は渋々承諾しますが、アンヌがジルに泉の水を飲ませ、記憶を取り戻させた瞬間、激怒して二人を石像に変えてしまいます。

しかし、二人の心臓は一つとなって生きており、悪魔がいくら石像を叩き壊そうとしても、その鼓動を止めることはできませんでした。愛の強さ、不屈の精神が、悪魔の力を超えたことを示唆する感動的な結末となっています。

キャスト

ドミニク: アルレッティ
ジル: アラン・キュニ
悪魔: ジュール・ベリ
ユーグ男爵: フェルナン・ルドゥ
アンヌ: マリ・デア
ルノー: マルセル・エラン

制作の背景

1930年代のフランス映画黄金期を築いた映画監督たちは、第二次世界大戦中、多くが海外へ逃れましたが、マルセル・カルネはフランス国内に留まり、制作活動を続けました。彼はフランス映画の伝統を守り抜いたとして、レジスタンスの作家と評価されています。また、本作にはナチズムに対する比喩的な抵抗が見られるという解釈も存在します。

参考文献

“悪魔が夜来る”. KINENOTE. https://www.kinenote.com/main/public/cinema/title_id/2491 2024年5月24日閲覧。

外部リンク

悪魔が夜来る 1942 - allcinema
悪魔が夜来る - KINENOTE
Les visiteurs du soir - IMDb（英語）

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