悪魔の沼

『悪魔の沼』(1977) 作品解説

『悪魔の沼』（Eaten Alive）は、1977年に公開されたアメリカのホラー映画。あの『悪魔のいけにえ』で名を馳せたトビー・フーパー監督がハリウッドに進出して初めて手がけた作品として知られています。物語は、1930年代にテキサス州で実際に起きたジョー・ボール事件をモチーフにしており、観る者を恐怖のどん底へと突き落とします。

本作は、Eaten Aliveの他にも、Death Trap、Horror Hotelなど、複数のタイトルが存在します。日本で初めて公開された1976年には、『Death Trap』というタイトルで紹介されました。

あらすじ

物語は、家出娘のクララが売春宿を追い出されるところから始まります。宿の従業員ルビーの勧めで、クララは近くのモーテル「スターライト・ホテル」に宿泊することに。しかし、このモーテルには、恐ろしい秘密が隠されていたのです。

モーテルのオーナーであるジャッドは、義足の男。モーテルの隣にはワニが棲む沼があり、異様な雰囲気を醸し出しています。クララが売春婦であることを見抜いたジャッドは、彼女に関係を迫りますが拒否され、激高した彼はクララを刺殺し、ワニの餌食にしてしまいます。

その後も、旅行中の若い夫婦や、娘を探す親子がモーテルにやってきますが、次々とジャッドの凶行に巻き込まれていきます。ワニを射殺しようとした夫はジャッドに襲われ、娘を助けようとした父親も命を落とします。そして、ジャッドは若い妻を監禁し、さらなる惨劇を引き起こそうとします。

モーテルにやってきた売春婦のリネットは、ジャッドに襲われそうになりますが、なんとか逃げ延びます。一方、クララの姉であるリビーは、モーテルで監禁されていた若い妻を発見し、ジャッドの悪行を知ります。彼女は妹を探しつつ、ジャッドに立ち向かいますが、深手を負ってしまいます。

ついに、ジャッドはワニを使い、幼いアンジーを襲わせようとします。しかし、瀕死の重傷を負った妻がジャッドを沼に突き落とし、彼はワニに喰い殺されます。アンジーとリビー、そして妻は、駆けつけた保安官に救助され、事件は終結を迎えます。

キャスト

ジャッド：ネヴィル・ブランド
フェイ：マリリン・バーンズ
リビー：クリスティン・シンクレア
ハーヴェイ：メル・ファーラー
バック：ロバート・イングランド
アンジー：カイル・リチャーズ

制作の背景

『悪魔の沼』は、『悪魔のいけにえ』とは対照的に、大半がセットで撮影されました。しかし、主要スタッフやキャストは前作から引き継がれており、オマージュも随所に見られます。また、キャシー・ヒルトンの妹であるカイル・リチャーズが子役として出演しているほか、トビー・フーパー自身もカメオ出演しています。

トリビア

ロバート・イングランドの台詞「俺の名前はバックだ…。」は、映画『キル・ビル Vol.1』でオマージュとして使われています。

受賞歴

1978年度第7回パリ国際ファンタスティックＳＦ映画祭 黄金の一角獣賞、主演男優賞（ネヴィル・ブランド）

DVD

DVDの再発を記念して、2007年に渋谷の映画館でレイトショーとして再公開されました。DVDには、日本語吹替版や公開時のパンフレット・チラシの復刻版が付属しています。

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