悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲

『悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲』（Castlevania Legends）は、1997年にコナミから発売されたゲームボーイ用横スクロールアクションゲームです。ゴシックホラーアクションゲーム『悪魔城ドラキュラ』シリーズのゲームボーイ用ソフトとしては3作目にあたります。

ゲーム概要

本作の主人公は、シリーズ初の女性主人公となる17歳の少女ソニア・ベルモンドです。プレイヤーはヴァンパイアハンターであるソニアを操作し、鞭を武器に、怪物が巣食う悪魔城に乗り込み、魔王ドラキュラ伯爵の打倒を目指します。ステージクリア型の横スクロールアクションで、ステージ内には多少の分岐要素も存在します。

新要素として、一定時間無敵になる「バーニングモード」や、精霊の力を借りて使用する「ソウルウェポン」が追加されました。また、アイテム収集によってエンディングが変化するマルチエンディング方式が採用されています。キャッチコピーは「ドラキュラの歴史、今ここに始まる。」です。

ゲームボーイのモノクロ表示のゲームですが、スーパーゲームボーイを使用すると13色カラーでプレイでき、独自のピクチャーフレームも表示されます。開発はコナミコンピュータエンタテインメント名古屋が担当し、プロデューサーは福井博幸、ディレクターは山下幸紀、音楽は岡田蘭と岩田陽一が手掛けました。

ゲームシステム

基本的なシステムは、ゲームボーイ版の前作『ドラキュラ伝説』1・2を踏襲した2D横スクロールのステージクリア型アクションです。ロープにつかまっての上下移動や、鞭が2段階パワーアップすると火球が発射されるなどの要素が引き継がれています。本作では、しゃがみ歩きも可能になりました。

ステージ数は全6面で、1つのステージが前作よりも長めに作られています。また、『悪魔城ドラキュラXX』のようなステージ探索要素も導入されており、ステージ内には分かれ道があり、ルートが分岐する箇所も存在します。隠しステージやトラップ部屋も用意されています。さらに、ステージのどこかにあるシリーズ伝統のコレクションアイテムを集めることで、エンディングが分岐変化します。

ソニアの基本武器はシリーズ伝統の鞭ですが、サブウェポンは精霊の力を利用する「ソウルウェポン」となっています。ソニアが一定時間無敵状態になる「バーニングモード」も、本作の特徴的なシステムです。

バーニングモード

バーニングモードは、ソニアの潜在能力を引き出す特殊能力で、体力ゲージの下にあるバーニングゲージを消費することで発動できます。発動中は一定時間無敵状態となり、ダメージを受けなくなるほか、攻撃力、移動スピード、ジャンプ力といったソニアの身体能力が2倍になります。バーニングモードは、次のステージに進むか、ミスしてリスタートするまで再使用できません。

ソウルウェポン

ソウルウェポンは、本作におけるサブウェポンで、精霊の力を借りる魔法のようなものです。道中でアイテムとして取得するのではなく、ステージボスを倒すことで解放され、自動的に追加されます。使用にはハートを消費します。攻撃や回復など5種類が存在し、風、水、炎、聖、魔の順に入手できます（魔は隠しウェポン）。セレクトボタンで表示される特殊アイテム画面で切り替え可能です。

ゲームモード

ゲームスタート時に、難易度を「スタンダードモード」か「ライトモード」から選択できます。スタンダードモードは標準的な難易度で、ライトモードは鞭が2段階パワーアップした状態でスタートします。本作には得点という要素はありませんが、クリアするまでに倒した敵の数がエンディングで「HIT SCORE」として表示されます。HIT SCOREはセーブされません。ゲーム途中から再開する際、前作ではパスワード方式でしたが、本作にはバッテリーバックアップが搭載され、セーブ・ロード機能が付いています。セーブはステージ間でのみ可能です。

アイテム

水晶: 鞭が1段階パワーアップします。1個で1.5倍長く2倍の攻撃力になり、2個で火球が出るようになります。
ハート: ソウルウェポンを使用するために消費するハートが1つ増えます。
肉: 体力が半分回復します。
1UP: 残りプレイヤー数が1つ増えます。

ソウルウェポン

風: 時間を止めます。画面全体の動きを止めることができ、ボスには無効です。ステージ1のボスを倒すと習得します。ハート消費5。
水: 体力を全回復します。ステージ2のボスを倒すと使用可能になります。ハート消費20。
炎: フラッシュ攻撃。画面上の敵全体に鞭1発分のダメージを与えます。ボスには無効です。ステージ3のボスを倒すと使用可能になります。ハート消費5。
聖: 波動を飛ばします。前方に威力のある波動を飛ばし、鞭2発分のダメージを敵に与えます。ステージ4のボスを倒すと使用可能になります。ハート消費1。
魔: 敵を全滅させます。画面上の敵と敵の攻撃弾を一掃できます。ボスには無効です。隠しステージのボスを倒すと使用可能になります。ハート消費5。

コレクションアイテム

斧: ステージ1のどこかにあります。サブウェポンですが、武器としては使えません。マルチエンディングのキーアイテムです。
懐中時計: ステージ2のどこかにあります。
短剣: ステージ3のどこかにあります。
聖水: ステージ4のどこかにあります。
十字架: 隠しステージのどこかにあります。

ストーリー

舞台は中世トランシルバニア。悪魔の力を手に入れたドラキュラ伯爵が、超常的な力と魔界から呼び出した闇の従者たちを使って、ヨーロッパに絶望を広げていました。そんな中、不思議な力を持った少女ソニアがトランシルヴァニアの片田舎で生まれました。大自然の超常的な存在と語り合える特殊な力を持っていましたが、祖父から「その力は自分だけのために使ってはならない」と教えられて育ちます。

17歳の時、ドラキュラの下僕である異形の怪物たちが館を襲撃し、祖父が息絶え絶えの状態で残されていました。「今こそお前の力を役立てる時だ…」という祖父の言葉を受け、形見の鞭を手に、ソニアはドラキュラを倒すため悪魔城へと向かいます。

その他

本作のストーリーは、発売当時「ドラキュラ伝説の過去」「ドラキュラの歴史の全てはここから始まっていく」という触れ込みで、シリーズ最古の物語として登場しました。

登場キャラクター

ソニア・ベルモンド: 本作の主人公。17歳の女性で、ベルモンド家の先駆けとなるヴァンパイアハンター。鞭を操り、精霊たちと交流する能力を持つ。「バーニングモード」と「ソウルウェポン」を使用できます。
アルカード: ステージ4のボス。ドラキュラの息子で、『悪魔城伝説』にも登場。ドラキュラを倒す望みを託し、試練の時を待っています。
ドラキュラ伯爵: 最終ボス。悪魔城の城主であり魔王。
クリーチャーズ・バット: ステージ1のボス。コウモリ男。
デスドラゴン: ステージ2のボス。ドラゴンのゾンビ。
フライングウルフ: ステージ3の中ボス。
死神: ステージ3のボス。ドラキュラの腹心。
メデューサー: ステージ4の中ボス。蛇の髪を持つ女性。
ミノタウロス: ステージ5の中ボス。
死刑執行人: 隠しステージのボス。

敵キャラクター

コウモリ、火の玉、吸血虫、ゾンビ、スケルトン、シャドー、スケルトンヘッド、骨柱、ジョッシュ、ブラックアーマー、タワーズガーディアン、吸血樹、ジャイアントウォーム、スパイダー、半魚人などが登場します。

音楽

本作のBGMは、『悪魔城ドラキュラ Best Music Collections BOX』に収録されており、サウンドトラックCD化されています。

スタッフ

プロデューサー: 福井博幸
ディレクター: 山下幸紀
プログラマー: 山口佳輝
グラフィック・デザイナー: 内田和伸
サウンド・デザイナー: 岡田蘭、岩田陽一
プロダクト・デザイナー: 日吉司

評価

ゲーム誌『ファミ通』のクロスレビューでは20点（満40点）となっています。ゲームボーイというハードの制約から、グラフィックは拙く、サブウェポンはソウルウェポンに変更されており、十字架や聖水は使用できません。主人公が強すぎるため、ゲーム難易度は簡単という評価もあります。

関連商品

攻略本: 『悪魔城ドラキュラ -漆黒たる前奏曲- 公式完全ガイドブック』
* Castlevania Resurrection: ドリームキャスト用ソフトとして開発されていたが、開発中止になった作品。ソニア・ベルモンドが登場する予定でした。

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