悲惨な戦争

悲惨な戦争（ひさんなせんそう、Cruel War）

「悲惨な戦争」（Cruel War）は、アメリカの伝統的なフォークソングであり、その英語タイトルには時折、「The Cruel War」や「The Cruel War Is Raging」といった表現が用いられます。この楽曲の起源にはいくつかの説が存在し、南北戦争の時期には既に広く歌われていたとされますが、中にはアメリカ独立戦争にさかのぼる説や、イングランドにルーツを持つという説も存在します。

歌の内容とテーマ

この曲の歌詞では、兵士として戦地に送られる男性ジョニーが、彼の恋人である女性と交わす会話が描かれています。女性は、ジョニーと一緒に行くことを訴えかけるのですが、その中に込められたメッセージには、強い反戦や平和を求める意志が見え隠れしています。曲自体は純粋な反戦歌とは言えない部分もあるものの、1960年代にベトナム戦争の影響で広まった反戦感情により、この曲も反戦の象徴として受け入れられるようになりました。

PPMによるバージョン

この曲の有名なバージョンは、ピーター・ポール＆マリー（PPM）によって録音されたものです。彼らのメンバーであるピーター・ヤローは、伝統的な雰囲気を保ちながらも、3声のハーモニーが際立つように歌詞とメロディをアレンジし、1962年に彼らのデビューアルバム『Peter, Paul and Mary』に収録しました。翌年には、シングル「ステューボール」のB面にこの楽曲を収めました。

その後、PPMは1966年4月にノエル・ポール・ストゥーキーの名もクレジットに加えて、再びこの曲を録音し、新たなバージョンをシングルとしてリリースしました。この新録音は、Billboard Hot 100で52位まで上昇し、その反響は大きなものでした。日本においても、1966年に東芝音楽工業からリリースされたシングルや、「鐘の音に導かれて (Mon Vrai Destin)」との4曲入りEP（33回転1/3）を通じて広まりました。

文化的影響

「悲惨な戦争」は、PPMにとって代表的なヒット曲の一つとされ、アメリカの音楽文化における重要な位置を占めています。反戦のメッセージが時代を超えて今も支持され続けていることから、この曲は今後も新しい世代の人々に聴かれることでしょう。

以上のように、「悲惨な戦争」は、その美しいメロディと深い歌詞によって、アメリカのフォークソングの中でも特に特別な存在感を持つ楽曲といえます。

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