情報コミュニケーション学部

情報コミュニケーション学部とは、現代社会を「情報」と「コミュニケーション」という二つの重要な概念を軸に分析し、理解を深めることを目的とした学部です。

学問分野としての位置づけ

情報コミュニケーション学は、比較的新しい学問領域であり、その明確な定義や研究対象の範囲については、研究者や教育機関によって捉え方が多様です。情報とコミュニケーションを切り離せない一体のものとして考察する場合もあれば、それぞれを独立した要素として扱うこともあります。学際的な性質を持ち、人文科学、社会科学、さらには自然科学の一部にまたがる幅広い領域を対象とします。

国内の設置状況

現時点で、日本国内に「情報コミュニケーション学部」という名称で設置されているのは、明治大学のみとなっています。

明治大学 情報 コミュニケーション 学部

明治大学の情報コミュニケーション学部は、かつて存在した短期大学部の流れを汲み、2004年 4月に開設されました。学部内に置かれているのは情報コミュニケーション学科の一つのみですが、2年次からは学生の関心に応じて専門性を深めるためのコース制を採用しています。用意されているコースは、「社会システムと公共性」「組織とコミュニティ」「多文化と国際協調」「メディアと環境」の四つです。教育方法としては、少人数制のゼミナール教育を非常に重視しており、1年次という早い段階からきめ細やかな指導のもと、学生が主体的に学ぶ機会を提供しています。ゼミで扱われるテーマは多岐にわたり、学生は自身の興味に基づいて多様な学問分野に触れることができます。

かつての設置例（筑波学院大学）

過去には、筑波学院大学にも2005年度に情報コミュニケーション学部が設置されていました。同学部には情報メディア学科と国際交流学科が置かれ、明治大学の同学部とは構成や教育の趣旨が異なっていました。しかし、2010年4月には経営情報学部への改組が行われ、情報コミュニケーション学部は廃止されています。

学部内に置かれることのある学科

情報コミュニケーション学部を設置する大学において、典型的には以下のような学科が置かれることがあります。

情報コミュニケーション学科: 学部が単一の学科によって構成される場合に用いられる名称です。
情報メディア学科: 情報メディア分野に焦点を当て、情報コミュニケーションについて深く学ぶ学科です。
* 国際交流学科: 国際交流の側面から情報コミュニケーションを探求する学科です。

他学部との比較

情報コミュニケーション学部は、その学際的な性格から、しばしば教養学部と比較・混同されることがあります。しかし、両者には明確な違いがあります。

一般的に、教養学部がリベラル・アーツ教育や文理融合的なアプローチを主軸とするのに対し、情報コミュニケーション学部は、より社会科学的な視点から現代社会の諸問題を考察することを重視する傾向があります。また、現代社会に新たに出現した課題や現象に積極的に焦点を当て、その解決に向けたコミュニケーションのあり方を模索するという点でも、教養学部とは性格が異なります。

他方、明治大学は同学部を「社会科学、人文科学、自然科学といった既存の学問領域の枠を超越する新しい学問分野」として位置づけ、その開拓を標榜しています。特に、新たな学問領域を開拓する意欲を示す例として、ジェンダー研究の推進を挙げており、学内に「ジェンダー・センター」を設置しています。男女間の格差是正や、ジェンダー・セクシュアリティを巡る多様性を尊重する公正な社会の実現に向けた双方向コミュニケーションのあり方を追求することは、同学部の重要な研究テーマの一つとされています。

また、明治大学では、一般市民向けの生涯学習施設である「リバティアカデミー」との連携も深く、同学部に所属する教員がアカデミー長を務めるなど、教育・研究成果を社会に還元する活動も活発に行われています。