情報処理用語規格

情報処理用語規格とは

情報処理用語規格とは、情報処理に関する用語の定義や分類を定めた規格の総称です。これには、国際規格であるISO規格や、日本のJIS規格が含まれます。これらの規格は、情報処理技術の発展に伴い、用語の統一と標準化を図ることを目的としています。

ISOにおける情報処理用語規格

ISO（国際標準化機構）では、1964年に情報処理用語の用語集作成が決定され、ISO/TC 97/SC1が設立されました。1966年から実質的な作業が開始され、IFIP（情報処理国際連合）とICC（国際計算センター）が共同で作成した用語集を基に、ISO 2382シリーズが制定されました。このシリーズは、各パート別に制定・改正が行われ、情報処理に関する用語の国際的な標準化に貢献しました。しかし、1990年代に入ると、委員会メンバーの高齢化や予算削減による参加者の減少が問題となり、1998年にISO/IEC JTC 1/SC1は廃止されました。その後、用語規格の制定・改正は、各パートに関連する分野を担当するそれぞれのSCが行うことになりました。

JISにおける情報処理用語規格

日本では、当初、1961年に「JIS Z 8111 計数形計算機用語（一般）」、1962年に「JIS Z 8112 計数形計算機用語（一般を除く）」が制定されましたが、1970年に統合され、「JIS C 6230 情報処理用語」として再編されました。その後、ISO規格の制定を受けて、国際規格との整合性を図りながら、1977年と1981年に改正が行われました。1987年には部門情報処理の新設に伴いJIS X 0001に規格番号が変更され、国際規格に合わせてパート別規格に移行しました。しかし、JISでは枝番方式が認められていなかったため、「ISO 2382-1」を「JIS X 0001」という形で規格番号が順次振られました。また、JISの規格書には、しばしば規格の解説が付記されていますが、情報処理用語規格については、用語規格全体を解説した書籍が独立して出版されています。

日本における規格策定の歴史

日本における情報処理用語規格の策定は、当初、電気通信学会（後の電子情報通信学会）に委託され、その後、情報処理学会が業務を引き継ぎました。1962年には常設の組織として「ISO/IEC国内委員会」が設置され、1963年には情報処理学会規格委員会と改称されました。同委員会のもとに設けられたSC1作業部会が、ISOのSC1と連携しながら作業を進めました。1987年には「ISO/IEC JTC 1」の設立に伴い、より独立性の高い「情報規格調査会」に改組され、各作業部会は同調査会の下部組織となりました。1998年の「ISO/IEC JTC 1/SC1」廃止を受けて、2001年には日本のSC1作業部会も廃止され、それぞれの部門を担当する作業部会が用語規格の制定・改正を行うことになりました。

パート別規格の制定と改正の状況

ISO/IEC 2382は、2015年に改正され、分割しない単一の規格（ISO/IEC 2382:2015）になりました。それまで分割されていた規格は、ほとんどが廃止されています。

関連規格

ISOには、ISO/IEC 2382シリーズ以外にも、情報処理関連の用語に関する規格があります。

ISO 5127:2001（JIS X 0701:2005）: 情報及びドキュメンテーションに関する用語
ISO/IEC 19762-1:2005（JIS X 0500-1:2009）: 自動認識及びデータ取得技術に関する用語（一般）
ISO/IEC 19762-2:2005（JIS X 0500-2:2009）: 自動認識及びデータ取得技術に関する用語（光学的読取媒体）
ISO/IEC 19762-3:2005（JIS X 0500-3:2009）: 自動認識及びデータ取得技術に関する用語（RFID）

また、JISには独自規格として「JIS B 0191 日本語ワードプロセッサ用語」がありましたが、2011年に廃止されました。

まとめ

情報処理用語規格は、情報処理分野におけるコミュニケーションの円滑化と技術の発展に不可欠なものです。ISOとJISを中心とした国際的な標準化の取り組みは、情報技術のグローバルな相互運用性を確保する上で重要な役割を果たしています。規格の策定と改正の過程は、情報処理技術の進歩とともに継続されており、常に最新の情報が求められます。

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