情報教育

情報教育の歴史と展望

日本における情報教育は、主に普通教育との関係において進展してきました。文部科学省は、児童生徒の「情報活用能力」を育むことを重視し、「教育の情報化」という3つの柱に基づいて教育政策を推進しています。この柱は、情報教育、ICT活用における教科指導、校務の情報化の3つで構成されています。以前は、教員の不足などから「コンピュータを教えること自体が難しい」とされていましたが、時代が進むにつれて、インターネットにおけるモラルの重要性も強調されるようになりました。

昭和50年代以前の状況

昭和50年代以前は、情報学やコンピュータ科学に関する教育はほとんど行われていませんでした。この時期、コンピュータ関連の学問は数学や物理学、電子工学などに散在しており、国民的な教育カリキュラムには反映されていませんでした。しかし、1930年代からの海外を含む研究が、日本におけるコンピュータの実現への道を開きました。1950年代には大学でコンピュータの建造研究が進み、1960年代には大企業がメインフレームを商業的に生産するようになりました。このような発展により、教育機関での計算機利用が促進されましたが、情報工学に関する専門教育は1970年代以降にやっと広まりました。

1980年代からの専門教育の発展

1970年代には、コンピュータは一般家庭に普及しておらず、電卓の普及が先行していました。しかし、1980年代に入ると、パーソナルコンピュータが普及し、教育現場でもコンピュータ支援教育（CAI）が導入されるようになります。この時期、教育は単なる技術の習得にとどまらず、情報化社会に適応するために「情報活用能力」を育成することが求められるようになりました。

平成元年改訂以降の情報教育

1985年の学習指導要領改訂により、基礎基本の中に「情報活用能力」が位置付けられました。これにより、学校教育における情報についての考え方が整理され、生徒たちが主体的に情報を選択し、活用する能力が育まれる方針が打ち出されました。1990年代には、教育課程の中で情報に関連する内容が多くの教科に取り入れられ、情報教育の体系化が進みました。

2000年代に入ると、情報通信ネットワークの活用や情報モラルの育成が新たに求められるようになります。学校教育の質の向上も進められ、学校のICT環境整備や教員のICT活用指導力の向上が図られました。特に、情報化社会の影の部分への配慮が重要視され、情報モラル教育が新たな教育課題として浮上しました。

近年の取り組み

最近では、文部科学省が「教育の情報化に関する手引」を作成し、情報教育が教育の情報化の3つの柱の一つであることを再確認しました。この手引き書には、情報化の進展や学習指導要領における教育の情報化の重要性、さらには情報教育の体系的な推進の方針が示されています。特に、学校と地域との協力関係の構築が、情報教育の円滑な進展に寄与することでしょう。

このように、情報教育は日本の教育制度の中で徐々に確立され、今後ますます重要性が増していくことが期待されています。情報活用能力の育成は、社会の要請に応える上で不可欠な要素であり、教育機関や家庭、地域が連携して支えていくことが求められています。

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