情報開示陳述書

情報開示陳述書（IDS）とは

情報開示陳述書（Information Disclosure Statement、略称: IDS）は、特許出願者が特許出願のプロセスにおいて、関連する技術や情報を米国特許商標庁（USPTO）に提出するための文書です。この義務は、合衆国法典のTitle 35および関連するCFR Title 37、MPEPで明確に定められています。すべての特許出願者は、自身が知っている、または出願した発明の特許性にかかわる可能性のある技術や背景情報を開示する責任があります。

特許出願者が知っている技術に対して意図的に重要な先行文献を提出しなかった場合、申請した特許は「不衡平行為」（inequitable conduct）として無効とされる可能性があります。この義務は、出願者自身のみならず、彼らが利用する弁理士や法律の専門家にも当てはまります。

IDSに含まれる情報

IDSには、他の登録特許、公開特許出願、学術雑誌や書籍の記事、そして出願者自身が開示した発明に関連するさまざまな公開資料が含まれます。これらの資料は、作成された国や言語にかかわらず、すべて関連性があります。IDSで提出される情報は、主に以下の三つのカテゴリに分類されます：

1. 米国特許文献: 登録された米国特許および公開された米国特許出願が含まれます。USPTOの審査官はこれらに容易にアクセスできるため、米国特許文献のコピーを提出する必要はありません。
2. 外国特許文献: 外国で登録された特許や外国登録の出願の公開、PCT国際出願の公開などが該当します。
3. 非特許文献（NPL）: これは、雑誌の記事や研究論文など、特許公開以外の資料を指します。このカテゴリの文書は、IDSと一緒に提出する必要があります。特に、NPLや外国の特許公開のコピーが英語で書かれていない場合、出願者はその翻訳または関連性の英語の概要も併せて提出しなければなりません。

IDSの要件

IDSの内容に関する要件は、CFR 37の第1.98条で定められており、MPEPにも詳しく記載されています。また、提出の方法とタイミングはCFR 37の第1.97条で規定されています。出願者は、仮出願ではIDSを提出することができません。2006年以降、関連技術の開示は、USPTOが提供する公式なフォームを用いた紙での提出や、USPTOの電子出願システムを利用した電子的な提出が可能です。

このように、IDSは特許手続きにおいて非常に重要な役割を果たしており、出願者は適切な情報を提供して、審査官に対する透明性を保つ必要があります。必要な情報を正確かつ適時に提出することで、特許の取得プロセスを円滑に進めることができるのです。

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