意見十二箇条

意見封事十二箇条について

意見封事十二箇条（いけんふうじじゅうにかじょう）は、平安時代中期の著名な学者である三善清行が、延喜14年（914年）に醍醐天皇に提出した政治的な意見書です。これには、かつての日本国内の不安定な土地状況や、律令体制の崩壊に至る経緯が明記されており、歴史的には非常に重要な資料として位置づけられています。

この意見書は、一般的に「三善清行意見封事十二箇条」または単に「意見十二箇条」とも呼ばれ、三善の国司としての実務経験を踏まえた上で作成されています。特に、彼は当時の財政的危機について掘り下げて論じており、その内容は、衰退する律令制度の現状を明らかにしています。

提出に至る背景

三善清行がこの意見書を提出したのは、10世紀前半の日本における土地の状況が非常に厳しかったためです。当時、偽の土地所有者が増加し、特に女性名義で登録された口分田が多くなり、これが租税収入の減少を引き起こしていました。また、土地の所有者が不在となる事例も増え、浮浪者や逃亡者の影響で、これらの土地が寺院や有力貴族の私有地となる困難な状況が続いていたのです。

さらに、班田収授の制度は延喜2年（902年）を最後に実施されなくなり、醍醐天皇はそれに対抗すべく日本初の荘園整理令を発布しましたが、その成果は限られたものでした。

意見の内容と提案

このような背景を受けて、三善清行は「意見封事」を通じて政治への具体的な提言を行いました。「意見封事」とは、古代において官人が天皇の指示に対し見解を密封した形で提出する形式の文書を指します。彼自身、当時の土地問題や地方政治の悪化を批判し、その解決策を提案しました。

具体的には、国ごとの人口状況を改めて調査し、適切に口分田を配分することを強調しました。また、余剰の土地については国司の管理下から取り戻し、それを政府の土地として利用し、賃貸することで得られる地子を持ち主不在の土地の税収に充てることを提案しています。これにより、中央財源の不足を補い、当時の政策が機能することを目指したのです。

まとめ

三善清行の意見封事十二箇条は、非常に充実した内容に加え、文章の表現力も優れていることから、平安時代の政治的背景や社会状況を知るための貴重な資料となっており、日本の歴史において重要な意義を持っています。意見の提起は、当時の乱れた土地政治を是正するための道筋を示す試みであり、その後の政治や社会への影響を考える上で欠かせないものといえるでしょう。

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