愛しのニコレット

愛しのニコレット (Nicolette) について

ニコレット・ラーソンのファーストアルバム『愛しのニコレット』（原題：Nicolette）は、1978年にリリースされました。このアルバムは彼女にとって初めてのスタジオ作品であり、音楽シーンへの堂々たる登場を示すものでした。

アルバムの背景

ニコレット・ラーソンは、主にリンダ・ロンシュタットと共に活動していました。特に、彼女たちはニール・ヤングのアルバム『アメリカン・スターズン・バーズ』（1977年）のバッキングボーカルを担当し、その後の『カムズ・ア・タイム』（1978年）でも彼女の歌声を聴くことができました。アルバム『愛しのニコレット』に収録された「溢れる愛」は、元々ヤングの作品として録音されたものであり、彼のバージョンとラーソンのバージョンが同時に世に出るという興味深い経緯があります。

本作にはリンダ・ロンシュタットが「恋するメキシカン」や「ギヴ・ア・リトル」などにゲスト参加しており、彼女の存在感も強調されています。

「あなたのとりこ」では、エドワード・ヴァン・ヘイレンがギターソロを演奏していますが、クレジットには「?」とだけ表記されています。ラーソンはこの件について、当時ヴァン・ヘイレンがまだ活動を本格化させておらず、彼の名前を出すことに対して控えめだったためであると語っています。このように、アルバムにはさまざまなミュージシャンが参加しており、多彩な音楽スタイルを生み出しています。

「ルンバ・ガール」はジェシ・ウィンチェスターの楽曲のカバーであり、ラーソンが彼のオリジナルアルバムでバッキングボーカルを務めたことから、そのつながりも興味をそそります。また、「ラスト・イン・ラヴ」はJ.D.サウザーとグレン・フライの楽曲であり、サウザー自身も後に自身のアレンジバージョンをリリースしています。

アルバムの評価

『愛しのニコレット』はその品質の高さから、1979年にはRIAAによってゴールドディスクとして認定され、同年3月3日付のBillboard 200チャートでは最高15位を記録しました。この作品は、ラーソンにとって唯一の全米トップ40アルバムとなりました。さらに、シングル「溢れる愛」はBillboard Hot 100で8位、続く「ルンバ・ガール」は47位に到達しました。音楽評論家のJames Chrispellはオールミュージックで、このアルバムに対して5点満点中4点を付け、「彼女は自分が目指す多様な音楽ジャンルにおいて、優れた才能を示した」と評しています。

収録曲

アルバムには以下の楽曲が収められています：
1. 溢れる愛 - "Lotta Love" (Neil Young) - 3:11
2. ルンバ・ガール - "Rhumba Girl" (Jesse Winchester) - 3:51
3. ユー・センド・ミー - "You Send Me" (Sam Cooke) - 3:55
4. あなたのとりこ - "Can't Get Away from You" (Lauren Wood) - 3:16
5. 恋するメキシカン - "Mexican Divorce" (Burt Bacharach, Bob Hillard) - 3:56
6. ベイビー・ドント・ユー・ドゥ・イット - "Baby Don't You Do It" (Holland-Dozier-Holland) - 3:41
7. ギヴ・ア・リトル - "Give a Little" (Bill Payne) - 2:59
8. 歓喜の天使 - "Angels Rejoiced" (Ira Louvin, Charlie Louvin) - 2:26
9. フレンチ・ワルツ - "French Waltz" (Adam Mitchell) - 4:21
10. カム・アーリー・モーニン - "Come Early Mornin'" (Bob McDill) - 2:41
11. ラスト・イン・ラヴ - "Last in Love" (J. D. Souther, Glenn Frey) - 3:44

参加ミュージシャン

本作にはラーソンのほか、多くの優れたミュージシャンが参加しています。彼女自身はボーカルだけでなく、ギターやアコースティックギター、パーカッションも担当しています。さらに、エドワード・ヴァン・ヘイレンをはじめとする多彩なミュージシャンが集まり、高品質なサウンドを実現しました。

『愛しのニコレット』は、ヒット曲や豪華な参加ミュージシャンにより、発表当初からリスナーに愛され続けています。このアルバムは、ニコレット・ラーソンの音楽キャリアの重要な一歩であり、多くの人々に感動を与えました。

もう一度検索